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日本政府、中国の尖閣諸島沖航行を裏で承認か…鳩山元首相「習近平の構想は素晴らしい」

構成=長井雄一朗/ライター 写真=尾藤能暢

「日本はAIIBに参加すべき、孤立している」

――中国主導のAIIBについて、日米は距離を置いています。鳩山理事長はAIIBの顧問を務めていますが、この姿勢についてはいかがですか。

鳩山 「ユーラシアを発展させて平和に導いていく」という習近平国家主席の構想は、実現するとすれば素晴らしいことです。しかし、世間の中国脅威論やアメリカが未参加という事情から、日本はいまだにAIIBに参加していません。

 しかし、実はドナルド・トランプ大統領はAIIBに好意的なメッセージを寄せています。6月に行われたAIIBの年次総会で、金立群総裁は「アメリカは、アジア開発銀行(ADB)の予算を削る必要がある。そのため、すぐにAIIBに参加するのは難しいが、AIIBの業務案件にはアメリカの企業も配慮する」と言っていました。

 つまり、アメリカは日本が主導するADBの予算を削るため、一方でAIIBに参加するというのは難しい。しかし、アメリカ企業がAIIBの投資業務を受注することで国内の世論も参加にかたむくという構図です。

 AIIBについては、今や日本だけが孤立しているのが実情です。アメリカの後塵を拝することがないように、参加すべきです。日本はADBを通じて国際投資のノウハウも人材も豊富に持っているため、AIIBに的確なアドバイスをすることが可能です。だからこそ、中国は日本の参加を期待しているのですが、自民党内でも意見が分かれています。

 二階俊博幹事長は参加に前向きで、安倍首相は「条件が整えば」とのことですが、麻生太郎財務相は懸念を示しています。党内が分裂している状態を解消して、アジアの発展のために日中が手を組むことが必要です。それによって、アジア全体に安心感を与えることができます。

――AIIB側は日本の参加を促すために「副総裁のポストを用意して待っている」ともいわれます。

鳩山 そういう条件を提示されることは十分あり得るでしょう。あらためて、日本の早期参加を求めていきたいです。

「一帯一路は日本企業のビジネスチャンス」

――中国のシルクロード経済圏構想「一帯一路」については、賛同国も増えています。しかし、これにも日本は距離を置いています。

鳩山 アメリカの対中強硬論者であったスティーブ・バノン首席戦略官が解任されました。これは、アメリカが「中国に対して言うべきことは言うが、協調していく」という立場に舵を切ったことの表れです。もともとアメリカ国内には「アメリカの雇用を奪っているのは中国だ」という意見もありましたが、今後は中国に対する姿勢は変わっていくと思います。

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 一帯一路では、多くのビジネスが生まれます。そこにアメリカの企業も協力することで、多くの雇用を生み出していく。そういう思考にチェンジしていくでしょう。

 日本は、そのあたりが素直ではありません。確かに、「道路やパイプラインの敷設工事などで採算が取れるのか」という意見もあります。そこで必要になるのが、日本企業の知恵です。日本のゼネコンは海外事業の経験を多く持っています。そうした知見を生かすかたちで一帯一路に協力することで、ビジネスチャンスを得るべきです。

 日本と中国の製品を比較したとき、「日本製は壊れない」という安心感と長年の高評価があります。良質な製品やサービスを提供し、ビジネスチャンスとノウハウを互いに享受することで、日中間で紛争がなくなることにもつながります。新興国では、貧困の問題からIS(イスラム国)に参加する人もいますが、インフラが整備されて人々が豊かになれば、ISに参加する人も少なくなってテロ勢力が弱体化し、世界平和にも寄与するでしょう。

 しかしながら、今の一帯一路には不満があることも事実です。そのため、5月の国際協力サミットフォーラムでは「一帯一路はまだ中国で止まっていますが、ぜひ沖縄をはじめ日本まで広げて、21世紀の新たなシルクロード建設をお願いしたい」と述べました。

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