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また、今回の党大会で習近平は軍権を牛耳ったかに見える。しかし、軍幹部に抜擢された軍人は、そのほとんどが東部戦区(旧南京軍区)の出身者だ。つまり、習近平が若き日に17年間を過ごした福建省と浙江省の地域の軍人なのである。この時代に培った軍人人脈が今の習近平と軍のコネクションであり、当人の能力の有無にかかわらず、知り合いを軒並み軍幹部に任命したというわけだ。
党大会前の8月には、習近平は政敵となりそうな房峰輝・中国人民解放軍総参謀長を規律違反の疑いで拘束して失脚させている。徹底的に自らに都合のいい環境を整えたわけだ。それに対して不満が募るのは、かねて中央政府(北京)と敵対している北部戦区(旧瀋陽軍区)の軍人らである。
中国の軍部では、かねて宇宙航空やミサイル部隊の精鋭と実際の戦闘に駆り出される陸軍との実力の乖離が取りざたされている。それに加えて、習近平は自ら軍の円滑な運営を妨げる人事的対立、つまり軍人同士のせめぎ合いの構図をつくり出したことになる。これでは、陸軍はまともに戦える状態にないだろう。
中国、近く不動産バブルが大崩壊か
経済的には、難題が山積みの状況には変わりない。しかし、習近平は李克強首相から経済政策決定の主導権を奪い「今後の中国経済も自らが策定する」と豪語したわけで、いずれ中国経済が暗礁に乗り上げるのは時間の問題である。
最大のアキレス腱は、中央政府、地方政府、国有企業が抱える債務だ。そして、党の命令によって、それらに融資してきたのが国有銀行である。その債務総額は、アメリカ・ウォール街の見積もりでは約3700兆円にも上る。
その巨額の債務をいかに返済して財務の健全化を図るのか。それとも、不良債権化させて強引な債務整理を断行するのか。いずれにせよ、中国では近いうちに不動産バブルの大崩壊が起きると見られている。そして、その規模はリーマン・ショックの10倍超ともいわれるため、世界経済への波及も免れない。
秒読みとなった不動産バブルの崩壊によって、習近平が真っ青になる日も近い。そして、経済的に困窮すれば、さまざまな矛盾をごまかすためにも戦争を始めざるを得なくなる。習近平独裁体制の未来は暗い。
(文=宮崎正弘/評論家、ジャーナリスト)
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