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魚を食べると知能指数が高く? 海外の研究結果…認知症予防も

文=水守啓/サイエンスライター
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 研究グループは、2008年6月~13年5月に実施したAging Brain Studyの参加者67~88歳の男女61人(平均年齢77歳、男性20人、女性41人)を対象に、血清DHA値と脳内アミロイド沈着、脳の体積との関係について調査を行った。年齢、性、アポリポ蛋白E遺伝子型、教育年数を補正した結果、アミロイドが臓器に沈着し、機能障害を起こしてしまうアミロイドーシスが脳内に見られた群は、アミロイドーシスが見られなかった群と比べて、血清DHA値が23%低かった。そして、血清DHA値が上昇すると、脳内アミロイドの沈着に低下がみられたのだ。

 また、血清DHA値が高いと、アルツハイマー病で影響を受ける脳のエリアのうち、特に脳の中央部にあり記憶や学習を司っている海馬(左海馬台)と、海馬の入り口に位置し、匂いの伝達に関わっている左嗅内野という部分の体積が保たれていることがわかったという。

 さらに昨年12月、アメリカのペンシルヴァニア大学看護学部の研究グループは、魚を食べる子供たちは質の高い睡眠をとり、知能(IQ)が高いことを科学誌「Scientific Reports」で報告した。中国で行われたこの調査では、9~11歳の学童541人が魚をどれだけ食べているかを尋ねられ、彼らのIQが測定された。また、彼らの親も子供たちの睡眠の質について尋ねられた。

 その結果、魚を週1回以上食べる子供たちは、まったく食べないか、めったに食べない子供たちと比較して、より質の高い睡眠をとり、IQが平均より4.8ポイント高かった。また、時々魚を食べる場合でも3.3ポイント高かったという。

 過去の研究から、魚に含まれるオメガ3脂肪酸と知能の改善との間に関連性があることが示されてきたが、この調査では、それが改めて確認されるとともに、魚と知能との関係をつなぐパイプ役として、睡眠が関わっている可能性も示唆された。

 論文では指摘されていなかったが、これには、肉とは異なり、魚には消化に優れたタンパク質が多いこと、すなわち消化がスムーズであれば睡眠を妨げにくいことが関係している可能性もありそうだ。

 これらの調査は、基本、大陸国家で行われたものであり、肉食に偏りがちな文化圏では大いに参考になるように思われる。だが、水産資源に恵まれた海洋国家で暮らす日本人にとって、魚を食べるのは当たり前のことであり、むしろ摂取頻度が週に1回未満の人を探す方が難しいと思われる。そのため、毎日食べる人、2日に1回食べる人など、はるかに高い摂取レベルでの比較データがほしいところかもしれない。
(文=水守啓/サイエンスライター)

参考URL:
https://news.upenn.edu/news/weekly-fish-consumption-linked-to-better-sleep-higher-IQ
https://medical-tribune.co.jp/news/2016/1122505733/
https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20161207-OYTET50028/

【水守 啓(ケイ・ミズモリ)】
「自然との同調」を手掛かりに神秘現象の解明に取り組むナチュラリスト、サイエンスライター、代替科学研究家。 現在は、千葉県房総半島の里山で農作業を通じて自然と触れ合う中、研究・執筆・講演活動等を行っている。著書に『ついに反重力の謎が解けた!』、『底なしの闇の[癌ビジネス]』(ヒカルランド)、『超不都合な科学的真実』、『超不都合な科学的真実 [長寿の秘密/失われた古代文明]編』、『宇宙エネルギーがここに隠されていた』(徳間書店)、 『リバース・スピーチ』(学研プラス)、『聖蛙の使者KEROMIとの対話』(明窓出版)などがある。
ホームページ: http://www.keimizumori.com/

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