【森友】佐川氏、証人喚問で虚偽証言の疑惑…全責任背負い、安倍首相と財務省を擁護
(3)事前の価格交渉については、契約上の予定価格を示していないと証言
「路線価や公示価格は、オープンになっており、現場ではそのような話はするが、不動産鑑定にかけた価格を示したことはない」と証言した。しかし、これは改ざん前の決裁原本の14文書の「12.国有財産の鑑定評価委託業務について」に書かれている記述からいうと、明らかに偽証となる。
この文書では「学園代理人弁護士から、現状を踏まえた評価による価格提示があるならば、本地を買い受けて問題解決を図りたいとの提案がなされた」と経過が示され、続いて「弁護士から提案のあった売り払いによる処理を進めることが、問題解決の現実的な選択肢と考えられるため、今回売り払いに係る鑑定評価を行うものである」との記載がある。ここでは、予定価格を教えるどころか、その鑑定価格自体を「現状を踏まえた価格」として提案してもらうというやり取りをしている。佐川氏の発言には、明らかに偽証の疑いがあるといえよう。
(4)格安払い下げと売却価格の妥当性について
「すべて不動産鑑定にかけた価格で契約している」「価格は今でも適正だった」と証言したが、8億円を値引く価格は、国交省大阪航空局が算定したものであり、不動産鑑定士が算定したものではない。また、不動産鑑定士がその算定結果を承認しているわけでもない。したがって、「不動産鑑定士にかけた価格で契約している」という点は、どのような視点からいっても事実とは異なっている。この点も、森友問題における核心中の核心であり、佐川氏は重大な虚偽発言を行っていた疑いがあるといえる。
以上が今回の証人喚問の主な4つの特徴だが、佐川氏は昨年来、国会で「資料はすべて廃棄した」「価格交渉はしたことはない」「価格は適正であった」などと官僚らしからぬ裏付けのない断定的な発言を行い、安倍内閣への防波堤となり、事実解明を求める国民の批判の標的となってきた。そして今回改ざん問題で処分を受け、国税庁長官を辞任した。トカゲの尻尾として切り捨てられたわけである。そして改ざん問題へは証言拒否を続け、一方で事を理財局内だけの問題にし、その責任者として自分が一切の罪を背負い、壁の向こうに持って行くという姿勢を示した。
その一方で、佐川氏は上記(3)(4)のように虚偽発言を繰り返している。もちろん佐川氏の立場から言って、事情を知らず発言したという単なるミスではすまされない。証言拒否罪に加え、偽証罪で追及を受けることは必至である。
そこで以下では、(4)の「すべて不動産鑑定にかけた価格で契約している」という点が、いかに事実無根であるかを示したい。