財務省と官邸の対立
――通例、霞が関の幹部人事は通常国会が終わる7月に行なわれます。
朝霞 財務省の解体的人事を行うには、定期の7月人事にこだわらなくてもいい。安倍政権の内閣支持率の回復に向けて、不定期に行うこともありえます。そうなれば、財務省も当然大きな抵抗しますから、財務省と官邸双方とも壮絶な返り血を浴びるでしょう。
――つまり、安倍政権は霞が関人事を自由に動かしたいと。
朝霞 先例は、あります。安倍政権になってから、霞が関人事を自由に動かす弊害がすでに出ています。文部科学省の前川喜平前事務次官もクビにされましたからね。
――福田氏については、以前からセクハラの常習犯だったと報じられています。
朝霞 いかなる理由であれ、もし官僚が記者にセクハラをしたのであれば、その官僚には厳しい処分が下されるべきです。記者はネタを取るために人間関係をつくるのが仕事であり、霞が関の各記者クラブでも女性記者が増えましたが、官僚も節度をもって付き合うべきです。
官僚も権力を持つと、人が変わるのものです。事務次官からすれば「セクハラくらいはいいだろう」と思い、記者のほうがネタが欲しいために我慢するという構図は発生し得ます。たとえば記者が官僚とお酒が入る場でバカ騒ぎすることもありますが、それも人間関係をつくる一環です。外から見ると「ふざけるな」と言われそうですが、それも記者の仕事です。今回のセクハラ事件を他山の石として、官僚も「国民への奉仕者」という原点に戻り、国民から立ち振る舞いが監視されていることをよく理解すべきです。
官僚の足下をすくうことについて、安倍政権は長けています。ここに官僚は気をつけなければなりません。今回の福田氏の問題によって、永田町や霞が関に対する信頼が失われれば、日本全体にとっても大きな損失となるでしょう。
(構成=長井雄一朗/ライター)