米朝首脳会談後、米軍が北朝鮮へ軍事攻撃の可能性も…金正恩が恐れる「人民軍クーデター」
北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長が政府高官に対して、早ければ5月下旬にも予定されるトランプ米大統領との米朝首脳会談について、箝口令を敷いていることが明らかになった。また、人民も市場などで集まって首脳会談を話題にしないよう、秘密警察である国家保衛省要員を人が集まる場所に多数配置し、情報統制を強めている。
トランプ大統領が米朝首脳会談について、朝鮮半島の非核化という目標が達成できないと判断すれば「会談の途中でも協議の席を立つ」と述べて、首脳会談が失敗した場合、次の行動として武力行使をほのめかしているためだ。金委員長は4月中旬、訪朝した中国共産党高官との会談で、「失敗したら中国が助けてくれるのか」などと愚痴を漏らすなど、米朝首脳会談の失敗を恐れてノイローゼ気味だったとの情報もある。
強まる情報統制
韓国紙「東亜日報」が韓国の情報当局者の話として報じたところでは、箝口令は金委員長が書面で直接指示し、一部の高官らに対しては携帯電話の通話内容を盗聴するなど厳しい対応を取っている。また、首脳会談に関する情報を漏らした幹部は厳しく処罰するとの指示も伝えられているという。
朝鮮労働党は4月20日、平壌で党中央委員会第7期第3回総会を開催。金委員長が出席して、今後は核実験と中・長距離ミサイルや大陸間弾道ミサイルの試射を行わないと言明したが、その理由について「核の兵器化を頼もしく実現した」とのみ述べているだけで、総会では米朝首脳会談について一切言及されていない。
また、北朝鮮の国営通信社である朝鮮中央通信などの主要メディアも、首脳会談についてほとんど触れていない。すでに、北朝鮮国内では中国と韓国のテレビやラジオが傍受され、首脳会談の情報は人民にも知られているとみられるが、このような情報統制は最近では極めてまれといえる。
同紙によると、国家保衛省の要員が人々の噂の発生元である市場などを中心に監視体制を強めているほか、中国との国境地域では「資本主義排撃」といったメッセージが掲示板に貼られているという。
これについて、同紙は「首脳会談の前に人民たちの間で不利な噂が広がらないよう事前に遮断し、非核化など具体的な議題が公開された時の動揺を阻止するためといえよう。一部では会談を機に外部情報が北朝鮮に流入する場合に備えて、事前の管理を始めたという分析もある」と伝えている。