人気ジャニーズグループ・TOKIOの山口達也容疑者が、女子高校生への強制わいせつの疑いで書類送検された。山口容疑者は今年2月、自宅に女子高校生を呼び出し飲酒を勧めた上、無理やりキスなどの行為を行ったとされる。すでに示談が成立し、女子高校生は被害届を取り下げたとの報道もあるが、山口容疑者が起訴される可能性はあるのだろうか。弁護士法人ALG&Associates執行役員・弁護士の山岸純氏に解説してもらった。
山岸弁護士の解説
「強制わいせつ」での送検(警察が捜査を終え、今後、起訴するか否かの判断を検察官に任せる手続)は、厳しい判断ですね。
そもそも、わいせつとは、「徒(いたずら)に性欲を興奮または刺激せしめ、且(か)つ普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反すること」、要するに「一般的に性的な行為」と思われている行為をいいます。これを、有形力を行使したり、相手が脅える言葉を使って行った場合に「強制わいせつ」となります。
この場合、6月以上10年以下の懲役刑が科せられる可能性があります。
さて、今後、山口さんが起訴され、有罪となるかどうかですが、報道が事実であれば、被害者の女性と「示談」できるかどうかにかかっています。「一定の金銭を支払い、謝罪する」などの示談が成立すれば、ほぼ間違いなく「起訴猶予」を理由とする不起訴となるでしょう。
なお、山口さんは身柄を拘束されている(勾留)わけではないので、何日以内に起訴・不起訴を判断しなければならないということはありません。おそらく、検察としても一定の期間をもって、示談が成立するかどうかを見極めることでしょう。
万が一、示談できなかった場合ですが、次に、その他のあらゆる事情(今回の場合、未成年であること、お酒を勧めたこと、密室であったこと、国民的アイドルであること)を考慮して起訴するかどうかを検討することになります。密室で女子高生に酒を飲ませた国民的アイドルともなれば、起訴は免れないのではないでしょうか。
この場合の量刑ですが、初犯でしょうから、「懲役1年6月、執行猶予3年」が相場となるでしょう。
東日本大震災後も変わらず福島を愛してくれた山口さんだけに、福島出身の私としても、大変がっかりな事件です。なにより、この事件が原因で『ザ!鉄腕!DASH!!』(日本テレビ系)が放送終了になってしまったら泣くに泣けません。
(文=編集部、協力=山岸純/弁護士法人ALG&Associates執行役員・弁護士)