葛飾区と江戸川区の一部は5メートル以上の浸水
想定区域図によると、荒川沿いの墨田区と江東区の一部は、10メートル以上の浸水。その区域以外の墨田区と江東区、葛飾区と江戸川区の一部は5メートル以上の浸水となっている。3メートル以上浸水する区域は、北区、荒川区、中央区、千代田区、港区、品川区に散見される。5メートル以上の浸水となるところでは、浸水の継続期間が1週間以上に及ぶ区域も多い。
堤防の決壊で記憶に新しいのは、2015年9月の関東・東北豪雨による鬼怒川の氾濫だ。この時は、20名の死者、住宅の全壊が81棟、半壊が7090棟に及んだことが消防庁によって発表されている。これは高潮ではなく豪雨によるものだが、堤防の決壊が人口密集地で起これば、これ以上の災害に及ぶことも考えられる。
予測ができない地震と異なり、台風や低気圧の接近は、どのくらいの大きさの台風がどのようなルートでやってくるのか、気象庁から発表される。高潮の発生については危険の度合いによって注意報、警報、特別警報が発表される。それに応じて災害対策基本法に基づき各市区町村が、状況に応じて避難準備情報、避難勧告、避難指示を発令する。
台風が襲来すれば、高潮だけでなく、豪雨もやってくる。3月30日、東京都の建設局、下水道局は「神田川流域について、想定最大規模降雨による浸水予想区域図」を発表した。神田川の氾濫は完全に過去のものになったわけではなく、時間最大雨量153ミリメートルの豪雨が発生した場合、2~3メートルの浸水が予想されている区域も少なくない。
1メートル程度の浸水でも、交通の遮断によって取り残される可能性があり、ビルの上層階への退避では不十分だ。市区町村が発表しているハザードマップなどを参考に、ふだんから避難する区域を決めておき、地震対策と同じく、非常用の持ち出し品をまとめておくことが必要である。
(文=深笛義也/ライター)