4月17日、米連邦捜査局FBI前長官のジェームズ・コミー氏の著書“A Higher Loyalty: Truth, Lies and Leadership”(『より高き忠誠心:真実、嘘とリーダーシップ』)という回顧録が出版された。発売前から大きな話題になり初版は85万部に達し、アドバンス(契約金)は200万ドル(約2億1800万円)だった。
同書は、コミー氏の過去20年間のキャリアを振り返った回顧録であるが、第7代FBI長官としてのキャリアは、バラク・オバマ政権時代の2013年9月から、ドナルド・トランプ大統領によって突然解雇された17年5月7日までである。回顧録とはいえ、トランプ氏との秘話を暴露していることもあり、欧米のメディアは一様に“tell-all”(暴露本)という言葉を使っている。
同書でコミー氏は、トランプ氏を「真実を顧みない。彼のリーダーシップは自己中心的で本能的な衝動に基づいている。大統領としてモラル的に不適格」などと痛烈に批判している。一方のトランプ氏も、ツイッター上で以下のようにコミー氏に対する批判を繰り返しており、両者の舌戦は激しく展開されている。
「slippery(信用できない)。ジェームズ・コミーは史上最悪のFBI長官として歴史に残るだろう。ダントツに最悪だ!」
「コミーの悪評高い本にある大きな問題は、なぜ彼が機密情報を暴露したのか(刑務所行きだ)、なぜ彼が議会に嘘をついたのか(刑務所行きだ)ということだ」
「ジェームズ・コミーは、証明された情報漏洩者で嘘つきだ。ワシントンの事実上すべての人は、彼が行ったひどい仕事で解雇されるべきだと思った。実際に解雇されるまでは。彼は機密情報を漏洩した。その罪で起訴されるべきだ。彼は宣誓した上で、議会に嘘をついた。彼は弱い人間で、嘘をつくslime ball(卑劣なやつ)だ。時間が証明したように、彼はひどいFBI長官だった。Crooked(心の曲がった、不正直な)ヒラリーのケース(註:私用メール問題)の彼の扱い方とそれを取り巻く出来事は史上最悪のbotch jobs(一時しのぎの修理、煩雑になされた作業)のひとつとして歴史に残るだろう。ジェームズ・コミーを解雇したことは光栄の至りだった」
このようなコミー氏に対する怒りは、いかにもトランプ氏らしいが、ヒラリー選挙陣営のコミー氏に対する憤りは、それをはるかに超えている。とりわけ、コミュニケーション・チームのトップにいたジェニファー・パルミエリ氏の激憤はとどまるところを知らない。ワシントンDCで起きていることについて、事情を知るのにもっとも信頼できるオンラインメディアであると定評のある「POLITICO」に発表した彼女の怒りは以下のとおりだ。