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コミー前FBI長官のトランプ政権「暴露本」に全米騒然!

文=大野和基/ジャーナリスト

クリントン陣営は敗北の主因はコミー氏の会見にあると主張

 文芸評論家のミチコ・カクタニ氏は昨年7月まで、ニューヨーク・タイムズ書評欄主任だった。彼女は「角谷美智子」という日本名も持つ日系2世のアメリカ人で、イエール大学卒業後、ワシントン・ポスト紙に記者として勤め、「タイム」誌を経て、1979年から記者としてニューヨーク・タイムズに加わった。書評を書き始めたのは83年だ。

 カクタニ氏は、世界でもっとも影響力を持つ文芸評論家として、英語圏の文学界に長年君臨した、私もすこぶる尊敬する人物だ。その業績は高く評価され、98年にはピュリッツァー賞を受賞している。彼女から辛辣な評価を受けた大作家は数え切れないが、村上春樹氏もみごとに一刀両断されている。そのカクタニ氏が4月12日付のニューヨーク・タイムズに、コミー氏の暴露本の書評を発表した。

「この熱のこもった本の最初から最後まで一貫して、コミー氏が立ち返る中心的なテーマは、嘘をつくことの毒性のある結末と、真実や法の原則よりも個人への忠誠を選ぶことの腐食性のある影響である」

「同書はFBIによる捜査についての硬派ニュースに関する新事実という点ではほとんど何も提供していない。厳格な法律面での分析も欠いている」

「『より高き忠誠心』で、コミー氏は自分の欠点を羅列している。自分の性格が頑固一徹で、横柄で、自信過剰で、エゴに動かされているという欠点だ」

「このような欠点がヒラリー・クリントン氏のメール問題の取り扱いの釈明にときどき見受けられる」

 クリントン氏のメール問題については、コミー氏による会見が2回あった。1回目は16年7月だ。この会見でコミー氏はクリントン氏を起訴しないことを公表したが、クリントン氏のメールの扱い方を“extremely careless handling of very sensitive, highly classified information”(甚だ慎重に扱うべき極秘情報を、至極不注意に扱った)と語った。これは「ヒラリー・クリントン氏のメールの扱い方は違法で、本来なら有罪にするべきだが刑を免除する」と言っているのと同じである。この公表についてカクタニ氏はこう書いている。

「彼のアナウンスメントは司法省との調整をしないで行われた点で、さらにこのケースについて慣例より詳細な説明を提供した点で、前例から逸脱している」

 クリントン氏や彼女の選挙陣営が、敗北の主因であると主張している、投票日の11日前のコミー氏の会見についてはこうだ。

「コミー氏は本に『世論調査からクリントンが勝利すると思い込んでいた』と書いている。その思い込みに影響を受けたかどうか本の中で自問している。『それはまったくあり得ることだ。私はヒラリー・クリントン氏が次期大統領になる情勢の中で決断をしていたからだ』」

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