5月6日の日本大学対関西学院大学のアメリカンフットボール定期戦で、プレーと関係のないところで関学大のQB(クォーターバック)にタックルを行った日大の宮川泰介選手が22日、謝罪会見を行った。監督やコーチの指示通りに動いてしまった自分に責任があるとして、終始一貫して反省の色を見せた。
午後2時45分から約1時間行われた会見では、司会者は挙手制で質問を受け付けたが、指名されたのはすべてテレビ番組の人間だった。マスコミ関係者が話す。
「アメフトの試合で起こった問題ですから、本来であればアフメトに精通している紙媒体のスポーツ記者などにも質問の機会を与えるべきです。しかしこの日、挙手して指名されていたのは、テレビ局のレポーターやアナウンサーのような人ばかりでした。たとえば、サッカー日本代表の試合後、ワイドショーのスタッフが監督に戦術的な質問なんてしないし、そもそも会見場にはいないでしょう。それなのに、日本テレビ、TBS、フジテレビでワイドショーが放送されている午後2時台から会見が行われたためか、それらの番組担当者が次々と当てられていました」
報道陣からは「今回の件で一番勉強になったことは?」「アメフトとはどんな存在か」という抽象的な質問が目立ち、アメフトに関する具体的な質問はほぼなかったという。
「質問される人は、当然インタビュアーの姿勢を見ます。誘導尋問だと感じれば身構えるし、質問の内容が薄かったり、アメフトを勉強していないとわかったりすれば、答え方も変わってくる。『将来的に仲間と一緒にやりたいか』と聞くレポーターもいましたが、ワイドショー的なお涙頂戴を誘いたかったのではないか。それらの質問にも、宮川選手は常に被害者選手を思い、自分が加害者という意識を忘れず、真摯に答えていた。20歳とは思えない冷静さを持っていました」(同)
では、なぜ抽象的な質問や誘導的な質問が繰り返されたのか。
「マスコミ全体の傾向だと思いますが、ワイドショーは特に扇情的な言葉が求められる。そのほうが視聴者を惹き付けられると思っているからです。そのため、引き出したい答えに沿った質問をする人もいます。毎日、番組を放送しなければいけないので、そのほうがVTRをつくりやすい。だけど、自分が決めつけた型に無理矢理はめ込もうとする制作姿勢だと、辻褄が合わない場面が出てくる。
また、テレビ業界の一部には、いまだに『テレビが報道してやっている』と言う人すらいる。そのような気持ちを持つ人たちは、渦中の人の気持ちを慮ることができないでしょう。今回の会見でテレビ関係者から出た質問も、ありきたりな質問や誘導尋問のような質問が目立っていました」(記者)
ちなみに「タレントの会見でもないのに、テレビ局ばかりが指名された理由は不明」(前出・マスコミ関係者)とのことだが、テレビ局以外のマスコミにとっては、不満を感じる会見になったようだ。
(文=編集部)