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しかし、より大きな背景を念頭に考えると、説得力に欠ける。昨年12月14日の本連載でも述べたように、オズワルドは共産主義の信奉者とされ、ソ連に亡命した経験があることなどから容疑が固まった。もしオズワルドが本当にキューバやソ連と接触していたのなら、オズワルドはウォーレン委員会が結論づけたような一匹狼ではなく、それら共産主義国の支援を受けた可能性がある。大変な国際問題になるのは必至だが、冷戦で共産主義国との対決姿勢を強めていたCIAなど米情報機関にとって、これ以上好都合なシナリオはない。そうなれば暗殺を阻止できなかった責任など、なんとでもごまかせる。
それにもかかわらず、情報機関がオズワルドとキューバやソ連との接触をウォーレン委員会に報告しなかったのは、むしろ不自然である。ここで一部の論者が指摘するのは、オズワルドはCIAの工作員だったとする根強い説だ。オズワルドはキューバやソ連との関係を演出するために、CIAによってメキシコに送り込まれたのではないかという。
このオズワルドは替え玉だったともいわれる。暗殺発生直後、副大統領から急遽昇格したジョンソン大統領に対し、フーバーFBI長官が「ソ連大使館でオズワルドと名乗った男の録音テープと写真を入手したが、声も容貌もオズワルドとは違っていた」と報告している。
CIAがオズワルドのメキシコ訪問を暗殺前に知っていたとウォーレン委員会に申し立てたら、政府が調査に乗り出し、一匹狼であるはずのオズワルドとのひそかな関係があぶり出されかねない。だからCIAは当時口をつぐみ、今でもメキシコ関連文書の多くを公開したがらない、というのが米有力ジャーナリストらの見方だ。
そのような事情があったからか、CIAはケネディ暗殺後、メキシコでのオズワルドの行動に関する調査を早々にやめてしまう。当時それを不審に思い、再調査を強く主張した人物がいた。チャールズ・トーマスという米国務省の外交官である。
トーマスの自殺
最近明らかになった記録によると、トーマスは、オズワルドがキューバ領事館で働いていたシルビア・デュランというメキシコ人女性と性的関係があったとする情報などを明らかにしたうえで、オズワルドとキューバの共謀をウォーレン委員会が見逃していないか確かめるよう、繰り返し求めた。
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