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1992年には英国通貨危機を引き起こし、「イングランド銀行を破綻させた男」と呼ばれたほどである。一方で、それ以前から、自らが築いた巨万の個人資産を投じ、1979年にはアパルトヘイト下にある南アフリカの黒人生徒たちへの奨学金の支給を始めたことを皮切りに、東欧諸国や旧ソ連諸国を中心に国際的な慈善活動も展開している。最近では、2018年5月に実施されたマレーシアの総選挙で野党を率いたマハティール元首相を支援し、現職のナジブ首相を退陣に追い込んだ。
1979年にニューヨークで設立された「オープン・ソサエティー・インスティトゥート」の活動は、その後、世界各国に広がり、いわゆる「ソロス財団ネットワーク」を構築している。その最大の狙いは「世界に民主主義を広げることにある」とは本人の弁。
実は、こうしたソロス氏の成功の種を蒔いたのは父親であった。そもそも彼の父親の元々の名はテオドール・シュワルツ。ユダヤ人であった。ソロスが14歳の時、ハンガリーはナチス・ドイツに占領される。多くのユダヤ人が迫害を受け、殺害されることに。父親は第1次大戦中、ロシアの捕虜となり、シベリア送りになったことがある。しかし、収容所からの脱走に成功し、苦難の経験から「サバイバル術」を体得したという。
そのノウハウを幼少期のソロスに伝授したわけで、ソロス本人が「今、自分があるのは、父のお陰だ」と繰り返し述べている。父の生きざまから学んだことは「たとえ人から忌み嫌われようとも、生き延びるため(サバイバル)には手段を選ばぬ、という極意だ」とのこと。名前を変え、偽造パスポートでハンガリーを脱出したお陰で、ソロスは生き延びることができたわけである。彼の投資手法や金銭感覚も原点は「いかにサバイバルするか」に置かれている。きれいごとを言っていたのでは、一家全員がナチスの犠牲になっていたに違いない。
生き延びるために欠かせないのは、「世界の動きを人より早くつかむこと」。「危険を察知し、素早く行動すること」。そのためには、「一見脈絡のないようなニュースや現象を関連付ける見えない糸を探る努力を重ねること」。この3つがソロス氏のアドバイスだ。
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