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接見を終了した弁護人が面会室を出るときにはブザーが鳴るが、耳障りなことから署員があらかじめ電池を抜いてしまっていた。弁護人が署員に何も告げずに出て行ったことが不思議がられたが、その後の調べで、樋田容疑者に「署員には僕から言っておきますのでそのまま帰ってください」と言われていたことがわかった。それもこの時の接見だけではなかった。樋田容疑者は弁護人の退出後、どのくらいの時間で署員が来るのか、などを調べて計画的に脱走作戦を練っていたとみられる。
こうした場合、弁護人の責任はどうなのか。甲南大学大学院の園田寿教授はこう説明する。
「ネットなどで弁護人を批判する記事も見ますが、このケースではまったく責任はありません。接見終了を知らせる義務はまったくないのです。そのために大阪府警は全署にブザーを設置しています。それを切っておいて逃げられたのなら100%警察の責任ですよ。弁護人と共謀していたなら別ですが、極端に言えば、署内で逃走するのを見ていても通報義務はないのです。これは一般の人も弁護人も変わりません」
新たな容疑内容も難しいという。
「署の施設を壊したりして逃げれば加重逃走罪になりますが、初めから外れていて、たとえば押せば開くようなアクリル板だったなら単純逃走罪にしかならない」(同)
おそらく樋田容疑者はある時にアクリル板が外れていることを見つけ、チャンスをうかがっていたのだろう。今回、留置管理官ら署員の人的な落ち度が際立つが、老朽化した警察署も多い。簡単に外れるアクリル板など設備のチェックもしてもらいたい。
(文=粟野仁雄/ジャーナリスト)
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