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2023.11.01 19:32
2018.10.01 18:35
ここまで世界は「分断」していた(3)
「階級社会」イギリスの貧富の格差がすさまじいことに…排除される「アンダークラス」
1999年、当時のトニー・ブレア首相は、アンダークラス対策として「反社会的行動禁止令」を実施する。これは、困窮した地域で問題行動を取る者の外出や特定の地区への立ち入りを禁止するというものだった。この禁止令が適用された若者たちは社会的に排除されていき、じわじわと「分断」を促進させる要因のひとつとなった。
そして、アンダークラスと一般市民の分断は、富めるエリートと貧しき人々の「分断」につながっていくのである。
こうした状況の最中、ブレア首相は経済発展のために海外の優秀な人材を誘致すべく、移民受け入れの緩和を実施する。2001年には「高度技能移民プログラム」によって経済移民を合法化する。この措置によって移民は大幅に増加したが、一方で04年と07年に多くの東欧諸国がEUに加盟した。その結果、東欧諸国からの移民がイギリスに流入する。
想定外の移民の増加にあわてたイギリス政府は、05年より移民の審査を厳しくするものの、EU加盟国や東欧諸国からの流入によって、10年9月までの1年間の移民流入数が前年同期比で65%増加する事態となった。
この移民問題が、雇用とどう結びつくのか。端的に述べれば、企業は読み書きすらできない「アンダークラス」のイギリス人より、高度なスキルを持った移民を雇いたいのが本音ということだ。
こうして、雇用は移民労働者に奪われていく。しかし、政府は「アンダークラス」の若者たちをどうすることもできない。「EU域内の労働者は、原則としてすべての加盟国で自由に就労可能かつ差別を受けない権利が与えられている」と高城氏。そのため、イギリス人を優先して雇うこと自体がEU法に反することになるため、現状では「アンダークラス」を救う手立てはないのだ。
こう考えると、イギリスのEU離脱は必然ともいえる出来事だったのかもしれない。次回の最終回はイタリアを紹介する。高城氏は「イタリアは日本に酷似している」と指摘する。それは、いったいどういう意味なのだろうか?
(文=編集部)
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