その後しばらく、消費税は5%で推移しましたが、2011年に民主党の野田佳彦氏が首相となり、消費税を10%に引き上げる「3党合意」を自民党、公明党との間で12年6月に交わしました。そして、同年12月の衆院選で民主党は大敗し、政権を失います。
このように、歴代首相は消費税に関与した後に悲惨な末路をたどっています。しかし、安倍首相だけは、消費税を5%から8%にアップしたにもかかわらず、国政選挙で大勝し続けています。これは、どういうことなのでしょうか。
安倍政権が消費税を上げても選挙で勝つ理由
歴代首相が消費税に呪われたように没落しているなかで、なぜ消費税を5%から8%に引き上げた安倍首相だけが国政選挙で全勝の快進撃を続けているのか。それは、次の表を見ていただければ一目瞭然です。
14年4月、17年ぶりに消費税が5%から8%に引き上げられ、国民の税負担は年間で約8兆円増えると予想されました。その予想通りに消費は低迷し、アベノミクスはあっけなく失速してしまいました。
そのため、歴代首相と同じように、安倍政権も選挙の洗礼を受けて没落するはずでした。ところが、ここで出してきたのが、歴代首相は誰も使ったことがない「消費税増税先送り」というサプライズカードだったのです。
景気が良くないことを理由に、15年10月に予定されていた消費税引き上げを17年4月まで先送りすることを表明しました。その表明が11月18日で、5日後の23日には、「消費税増税延期について国民に信を問う」ということで衆議院を解散しました。信を問うも何も、消費税が上がらないことで不平を言う人などほとんどいるはずもなく、14年の衆院選は消費税増税後初めての国政選挙であるにもかかわらず、安倍政権は大勝しました。
さらに、16年6月には、17年4月に行われるはずの消費税引き上げを19年10月に再延期することを表明。この表明が行われたのは、参院選公示の3週間ほど前でした。その際の理由は、「これまでのお約束とは異なる、新しい判断だ。公約違反ではないかとのご批判があることも真摯に受け止めている」というものでした。しかし、新しい判断だろうがなんだろうが増税されないならうれしいということで、参院選は定員242議席中自公で146議席(+11)の過半数を占める大勝でした。
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