出張願いの起案すらなし?
これを見たある図書館関係者は、次のように不審がった。
「通常、役所の旅行命令簿は、出張の目的や誰を出張させるか、スケジュール等の大元の起案があって、それに基づいて作成されます。その起案には、市役所関係者以外のメンバーも書き込まれていたはずで、それらがないのはおかしいです」
この疑問について、和歌山市の担当部署に問い合わせたところ、そもそも起案などないと否定した。
「ウチでは、出張するときはいつもコレだけでやってますよ。場合によっては、口頭で(上司と)やりとりすることもありますが、別の起案はないです」(和歌山市の担当者)
また、職員ひとりが視察に参加した和歌山市教育委員会でも同様だという。
「人事課に確認しましたが、和歌山市では、この旅行命令簿に出張の目的等を書いて一枚で済ませているそうです」(市教委関係者)
そこで県庁に、“あくまでも一般論として”聞いたところ、少し違った回答だった。
「(出張願いの起案は)しますよ。ただ、国との協議などで呼ばれたときには行くのが前提なので、上司に出張すると伝えて、命令簿だけのときもまれにあります」
つまり、今回の「再開発プロジェクト」は、市も県も組織を挙げて取り組んでいる重要な企画だから、行くことが前提となっており、視察にあたって事前申請すら必要なかったということなのだろうか。
和歌山からの視察団は、市の職員4名(うち1名は市教委所属)、県庁の職員3名の合計7名。全体スケジュールは、初日の11月12日早朝に和歌山市を出発し、昼に福岡県飯塚市を視察した後、武雄市に移動して当地にそのまま宿泊。2日目は、午前11時から武雄市図書館を視察して熊本市へ。そこで駅前再開発を視察し、夕方帰路に就くというもの。
初日の飯塚市と2日目午後の熊本市は、参加者個々の都合によって、そのどちらかしか参加していないが、武雄市の図書館だけは、行政サイド全員が視察に参加している。
ところで、行政サイドから7名参加しているが、全体の視察団は何名なのだろうか。再開発プロジェクトの幹事社である南海電鉄からも当然参加しているはずだ。