●アベノミクス効果、SMクラブにも波及!?
大阪の某老舗SMクラブで「黒服(男性従業員)」として勤務するAさんは、ベテランの部類。バブル期から今に至るまで、SMクラブのほか、さまざまな様態の風俗店を渡り歩いてきた。そんなAさんの目から見て、今の活況ぶりはどう映るのだろうか
――現在、ひと月の売り上げはいくらくらいですか?
Aさん ひと月の売り上げは1000万円から1200万円くらい。去年の今頃、民主党政権時代の末期には、ひどいときは500万円程度にまで落ち込んだけど。今は、関西のSMクラブはプレイルームを持てない【編注:SMルームを伴う風俗店の営業は関西では厳しく、現在ではホテルにSM嬢を派遣する形態が主流】から、経費はそれほどかからないけれど、厳しいことには変わりない。
――昨年末の安倍政権の登場に以来、アベノミクス効果は業界として感じますか?
Aさん 1990年代のバブル期は、2000万円ほどの売り上げがあったと聞く。でも、アベノミクスでバブル再来とはいっても、かつてのバブル期のような売り上げは見込めない。長らく続いた不況期に、随分とサービス代金を値下げしてしまったからね。
バブル期の一般的なSMクラブの料金体系は、以下のようなものだったという。
60分 2万円
90分 3万円
120分 4万円
延長料金 10分 2000円
入会金(初回のみ) 2000円
指名料 1000円
だが、現在では、
60分 1万2000円
90分 1万8000円
120分 2万4000円
延長料金 10分 1000円
入会金(初回のみ) 1000円
指名料 1000円
と、その差は歴然としている。
一度、大幅値下げしたものを、バブル期並みに戻すことは難しい。そのため、多くのSMクラブでは、アベノミクスで本格的な活況を迎えれば、指名料を値上げ、またはマニアックなプレイに応える形でオプションを設定し、売り上げを伸ばすことを検討している。
●昨年比2倍の売り上げ、1.5倍の客入り
現在、このSMクラブの1日の売り上げは、土日だと60万円程度、平日は10~20万円である。昨年の今頃だと、土日でも40万円程度、平日は5~10万円だったというから、売り上げは1年で倍増したわけだ。ちなみに、取り分はSM嬢と店が半分ずつというのが一般的(例外あり)だという。
客の入りはどうか。ここ最近は、平日でも10~15人、土日は20~30人という。昨年の今頃は、平日5~10人、土日で15~20人だったというから、昨年比1.5倍といったところで着実な伸びをみせている。
新規客が増えたほか、常連客が長時間プレイして、これまで以上にお金を落としていくようになった。例えば、アベノミクス以前に60分のプレイを楽しんでいた人が、90分または120分のコースを選ぶといった具合だ。
「長い時間プレイしないお客様でも、口紅とかお菓子とか、お土産持参で遊びに来てくれる人も増えてますよ」(大阪老舗SMクラブ所属の女性)
これからバブル時代が到来するかのごときSMクラブの活況は、アベノミクスの波に乗り、まだまだ伸びていくだろう。
(文=李正愛)