そもそも、第三者委員会が“塚原派”で固められていたと指摘する声が少なくない。たとえば、第三者委員会委員長の岩井重一弁護士は、朝日生命保険関連企業の顧問弁護士を務めている。また、同委員の松田純一弁護士の事務所は朝日生命ビルに入っている。朝日生命は塚原夫妻が経営する朝日生命体操クラブの運営母体であるため、関係性が深いといわれているのだ。
パワハラ悪化を恐れる関係者も
パワハラ騒動の渦中、旗色が悪くなった塚原夫妻にとって起死回生の一手となったのが、速見コーチの宮川選手への体罰動画だった。
「あの動画が出たことで、世間の見方が一気に変わりました。塚原夫妻のパワハラの有無ではなく、速水コーチに目が注がれるようになりました。動画が見つかったきっかけは、塚原夫妻が、昵懇のフジテレビ記者に指示を与え、徹底的に探させたことです。シナリオを書いているのは塚原夫妻側の弁護士といわれていますが、夫妻は『テレビやマスコミを自分たちの意のままに操れる』と豪語していました。実際に、『あんたの番組は、私たちに批判的だからインタビューは撮らせない』ということを平気で言い、テレビ局やマスコミと交渉していました。世論が自分たち叩きに向かわないようにマスコミをコントロールしつつ、反撃の機会をうかがっていたんです。だからこそ、今の結果は、まさに塚原夫妻が描いた通りに事が運んだといえるでしょう」(体操関係者)
さらに驚愕すべきことに、体操協会は、塚原夫妻に対して反旗を翻した関係者たちを排除しようとしたのだ。12月10日の臨時総会では、体操界の品位を著しく落とすという理由で、数名の指導者資格を剥奪するとの議題が上がったという。前出の協会関係者は、次のように語る。
「塚原夫妻を批判した関係者や証言者は徹底的に潰すつもりなのだと、痛感しました。やっぱりかと思う半面、自分にもいつ火の粉が降りかかるかわからないという恐怖を感じました。あの人たち、特に千恵子さんは、やられたことは絶対にやり返します。もともと協会内は、日本体育大学派閥と塚原派で分かれていましたが、一連の騒動で塚原派が勝ったことにより、大勢は決しました。千恵子さんは来年に協会から退く格好となりましたが、自分たちの派閥の人間を使い、今後も多大な影響を持ち続けることは間違いないでしょう。言うまでもなく、宮川選手の選手としての未来は厳しいものとなったといえます」