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果たして、このような質問に対してギャンブル依存症の本人が正直に回答するだろうか。そもそも筆者には、銀行でギャンブル依存症の相談を行うというのが非現実的なものと思えるのだ。
自殺リスクまで見極める
さらにマニュアルでは、例えばギャンブル等へののめり込みの状況を本人から聞いている際に、注意すべき発言がなされた場合、本人が自殺のリスクを抱えている可能性があるので、関係機関につなぐ際には担当者に自殺のリスクがあることを伝えることが適切だとしている。その注意すべき発言例として、以下のようなものが掲載されている。
(1)家族には、たくさんの苦痛を与えてしまった。家族にとっては私がいないほうがいいだろう。
(2)私は絶対によくならない。本当に役立たずだ。
(3)あまりにたくさんの問題を引き起こしたので、自分などはよい人生を送るに値しない。
メガバンク行員はいう。
「ギャンブル依存症の人の自殺リスクを見極めることまで銀行に求めるのは、いかがなものか。これは、精神分析医やカウンセラーの仕事ではないのか」
このマニュアルには、「相談への対応に際し、このマニュアルのとおりにしなければならないというものではありませんが、このマニュアルを参考としていただき、円滑な対応に努めてくださるようお願いします」との金融庁の注記がある。しかし、金融庁が作成したマニュアルであれば、銀行は従わざるを得ないだろう。筆者には、このマニュアルがギャンブル依存症の抑制につながるとは思えないのだが。
(文=鷲尾香一/ジャーナリスト)
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