犯罪被害者の支援に取り組む弁護士・A氏【編注:イニシャルではない】が、自身が経営する法律事務所の元事務員に暴力行為やパワハラ、セクハラを行ったとして、その元事務員から提訴されるという事案が生じている。さらに驚くべきことに、A弁護士は、日本弁護士連合会(日弁連)の犯罪被害者支援委員会委員長という役職についていることがわかった。
横浜市内の法律事務所に勤務していた元事務員の女性は7日、会見を行い、経営者で弁護士のA氏から複数回にわたり「げんこつ」で殴られたほか、「(A弁護士の)機嫌が悪くなるのが怖かったので、どんなことを言われても我慢するしかなかった」と語り、日常的にパワハラ被害にあっていたことを証言。さらに、女性は、A弁護士から年齢にまつわるセクハラ発言も浴びせられていたという。
女性は2019年に精神疾患を発病し休職したが、休職中の20年7月に解雇され、21年には労災が認定されている。女性は今回、A弁護士と共同経営者の別の弁護士を相手取り、慰謝料190万円と労災の休業補償分を除いた賃金相当額などを求めて横浜地裁に訴訟を起こした。
「Aさんはシンポジウムへの登壇やメディア取材などで公の場に出る機会も少なくなく、関東の法曹界や司法記者クラブの間では知られた有名人。パワハラ・セクハラ被害者の実態を知り尽くし、そうした人々の支援を訴えるプロ中のプロが、なぜこのような問題を起こしたのか」(メディア関係者)
当サイトでは8日、複数回にわたりA弁護士が経営する法律事務所に問い合わせをしたが、A弁護士は「外出中」とのことでコメントは得られていない。コメントが得られ次第追記する。パワハラ事案にも詳しい弁護士はいう。
「実は、ベテランの弁護士が経営し、若い弁護士が1~2人、事務員が1~2人いるような、いわゆる“一人親方事務所”は、小さな独裁国家のようなところです。
ボスの意見は、すべてにおいて“正しい”とされ、暴行などの肉体的パワハラまではいかなくとも、業務上の質問に対しては『は? 今忙しいんだけど』『勝手にやってよ』などと返され、これに対しボスを斟酌・忖度して行動すると、『何、勝手にやってんだよ』と返されることは日常茶飯事です。
これは、弁護士の『オレは忙しいなか、お前らの面倒までみてやってんだよ』といった思い上がりからくるものです。また、弁護士は、世間では『先生、先生』と呼ばれ、ヘタにもてはやされますので、『オレは偉い』という勘違いが横行しているわけです。
一人親方事務所のベテラン弁護士は、たいていの場合、新人弁護士に対してこのような態度をとるので、事務員に対しても同様になるわけです。
なお、所属弁護士数が数十人、百人単位でいるような中堅・大手の法律事務所の場合、ボスやパートナーの弁護士が威張るのではなく、この人たちを忖度する“事務員のボス”がパワハラをしているということも多く見受けられます。
『法律を扱う弁護士だから法令を遵守する』という一般人の考えは、そもそも弁護士は聖人君子ではないので、実は妄想にすぎないということです。
なお、弁護士にとって神様より怖いのが弁護士会です。今回の裁判でパワハラが認められるなら、おそらく懲戒請求もされるでしょうし、ここで暴力が認定されるなら『業務停止〇か月』もあり得る話です」
どこの業界でもパワハラ根絶は難しいようだ。
(文=Business Journal編集部)