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藤和彦「日本と世界の先を読む」

昨日の首都圏・地震連続発生、来年前半の首都直下型地震発生の予兆か…伊豆半島も要注視

文=藤和彦/経済産業研究所上席研究員

 首都圏に達するMJルートについて角田氏は「来年上半期に首都圏で直下型地震が起きる可能性がある」と警告を発しているが、その根拠は2013年の西之島(東京の南約1000km、MJルート上に位置する)の大噴火である。西之島の大噴火をもたらした熱エネルギーは、その後2014年10月に伊豆諸島の八丈島(東京の南約300kmに位置する)の東方沖でマグニチュード5.9の地震を発生させるなど、日本列島に向かって北上した。

 首都圏に到達した熱エネルギーは昨年7月、千葉県東方沖(24日午前9時台に発生した地震の震源に近い)でマグニチュード6.0(最大震度5弱)の地震を発生させたが、震源が深かったことなどから首都圏に大きな被害をもたらさなかった。

 だが西之島ではその後も2015年や2017年に噴火が起きていることから熱エネルギーの移送は続いており、「次のピークが来年前半に到来する」と角田氏は予測しているが、24日の連続地震の発生は角田氏の予測の正しさを証明したのではないだろうか。

 角田氏が首都圏に甚大な被害をもたらすと懸念しているのは、昨日19時台に発生した伊豆半島沖を震源とする地震である。この地域で発生する地震の震源が浅いからである。伊豆半島周辺では1978年に伊豆半島近海地震(マグニチュード7.0、死者・行方不明者26人)が発生しているが、1930年にも北伊豆地震(マグニチュード7.3、死者・行方不明者272人)が発生している。

 特に北伊豆地震は地震断層が掘削中のトンネルを塞いでしまうほどの大地震だった。震源に近い静岡県三島市で震度6を観測したことから、地元では「伊豆大震災」と呼ばれているが、揺れは首都圏にとどまらず、北は福島・新潟、西は大分まで届いた。

 伊豆半島近辺でこのところ小規模な地震が多発しているが、24日に発生した地震はここ数年で最大規模だった。北伊豆地震の場合、発生までの約半年間周辺で群発地震が発生していたことから、24日の地震を契機に伊豆半島近辺で地震が今後多発するようになれば、要警戒である。
 
 24日の地震で東海道新幹線は安全確保のために一時運転を見合わせたが、北伊豆地震クラスの地震が発生すれば、この地域を通過する東海道新幹線や東名高速道路などで甚大な被害が発生する可能性が高い。大規模地震の発生を予測することで世の中をいたずらに騒がせるつもりは毛頭ないが、「備えあれば憂いなし」との願いから、拙稿をしたためた次第である。
(文=藤和彦/経済産業研究所上席研究員)

藤和彦/経済産業研究所コンサルティングフェロー

藤和彦/経済産業研究所コンサルティングフェロー

1984年 通商産業省入省
1991年 ドイツ留学(JETRO研修生)
1996年 警察庁へ出向(岩手県警警務部長)
1998年 石油公団へ出向(備蓄計画課長、総務課長)
2003年 内閣官房へ出向(内閣情報調査室内閣参事官、内閣情報分析官)
2011年 公益財団法人世界平和研究所へ出向(主任研究員)
2016年 経済産業研究所上席研究員
2021年 現職
独立行政法人 経済産業研究所

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