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CCC、賃貸業の常識を覆すぼろ儲け手法…和歌山の図書館で脱法的な空間ビジネス

文=日向咲嗣/ジャーナリスト
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CCC、賃貸業の常識を覆すぼろ儲け手法
水曜日のアリス公式アカウントの投稿写真を拡大

 10月15日付当サイト記事『ツタヤ図書館、契約違反の又貸しでぼろ儲け?公共施設を7000円で借り100万円で転貸』で、和歌山市民図書館内の民業スペースを借りているカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)が、そのスペースを又貸しているとの疑惑を報じた。

 今年3月、通路部分に大きくはみ出して営業している店舗が、CCC経営の蔦屋書店もしくはスターバックスではなく、別の店舗だったことが発覚。

 下の写真は、今年3月10日に投稿された「水曜日のアリス」という有名雑貨ブランドのボップアップショップ(催事会場で期間限定で営業する店舗)の公式ツイートである。

 店舗スペースを借りているのはCCCであるのに、催事に出店しているのはほかの店舗。和歌山市が出した使用許可書には“又貸し禁止”の条項があったが、「蔦屋書店が他店から仕入れて販売している」として不問にされていた。

 同社が普段は借りていない通路に所狭しと販売台を置いて営業していたのは、催事の時期のみ追加で使用申請を出すという“ウルトラC”を使うことで、賃料をタダ同然に抑えることに成功。それを他社に高額で又貸しているのではないかとの疑惑が急浮上してきた。

 行政財産の目的外使用は、公益性のある事業を行う場合に、比較的安い費用で事業者に公共施設の一部を特例的に使用させる制度(和歌山市行政財産の使用許可に関する使用料条例)である。CCCが和歌山市に使用許可申請と同時に提出している自主事業計画書には、「実施目的」として、こう書かれている。

<利用者の利便性の向上と図書館(施設全体)の魅力化を図る>

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  ある図書館関係者は、この制度の趣旨について、次のように指摘する。

「そもそも、営利目的に市の行政財産を使わせてはいけないんです。民業圧迫になりますから。目的外使用というは、市の施設の目的(図書館の目的)のために必要なことに使用させることができるという趣旨のものです。そのため、使用料は民間と比較して非常に安く設定されているんです。

 CCCへの使用許可書の使用目的で『居心地の良い空間を提供し、新たな利用者を呼び込むため』としているのは、その条例の規定に沿ったものといえますが、形式を整えているだけ。この表現では、いかなる営業をやってもよい、と認めているようなものです。むしろ、これに該当しない営業活動を見つけるほうが困難です。明らかに条例の趣旨を逸脱しているといえます」

 つまり、公共性を鑑みて激安になっているのに、実質的には何をやってもいいように設定されているというのだ。

 和歌山市の場合、もともと図書館内に出店している蔦屋書店とスターバックスの店舗の賃料は、世間相場の3分の1以下の単価が設定されたうえ、その対象スペースも専用テーブルや販売棚のみに限定された屋台方式。通路部分など床は、ほとんどタダという破格の条件だった。

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 ある和歌山市民は、こう憤慨する。

「市民図書館の一階なんて、ほとんどがスタバと蔦屋書店です。図書館部分といえば、高い位置に書架が設置されているのと、奥の壁面に少し棚があるのみで、利用者からすれば、ほとんどCCCの店舗です。1階はまるごとツタヤ店舗といっていいくらい。それなのに賃料を払っているのは、全体の1割ちょっとだなんて、あまりにも市民をバカにしすぎではないでしょうか」

 さらに今回浮上したのは、その普段は賃料を払っていない通路の床部分に臨時で追加申請を出して、そのスペースを催事のたびに他社に高額で貸し付けるという、恐ろしく商魂逞しいやり方である。

 下の画像は、同社が全国の蔦屋書店で、他社向けのポップアップストア展開サービスの料金表である。「平台展開」は、「100万円~/2週間」という高額な料金が設定されていた。和歌山市民図書館の催事に出店している企業も、これに準じた料金を払っているものと思われる。

 いかにもCCCらしいといえばそれまでだが、公共を食い物にしていると厳しく指弾されかねない事案である。

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CCCマーケティング(株)販売資料より 2022年10月1日~2022年12月31日 “※展開内容は蔦屋書店側にて編集(場所貸しのみの実施は不可)”との但し書きが添えられていて、単純な場所貸しではないとしているが、和歌山市の担当部署が回答した「蔦屋書店が商品を仕入れて販売している」という説明はどこにも見当たらない。

「賃貸業は在庫を抱えることができない」とよくいわれるが、CCCの和歌山市でのやり方は、そんな常識を根底から打ち砕いた新しい商法といえよう。

 すなわち、必要なときに必要なだけのスペースを借りて営業するという、空間のジャストインタイム(カンバン方式)である。

 普段は専用のテーブルや販売棚だけに限定して借りて、通路などの床部分については、共用部分として賃料負担はしない。これにより、賃料は劇的に安くなる。

 ところが、儲かる時期だけは、催事と称して追加申請を出すことで、その都度、普段は借りていない通路などの床部分を自社で占有して、これを他社に実質又貸ししてぼろ儲けするという手法である。

 公共施設において、こんな脱法的な手法を行政が認めるとすれば、文字通りやりたい放題ではないのか。

 前出の図書館関係者は、次から次へと出てくる和歌山市民図書館の不正疑惑について、こう嘆息する。

「これだけ行政が一事業者と癒着できるのは、いったい何なのか。CCCに支配されているのではないか」

 書店とカフェの賃料を9割引にしてもらったうえ、普段共用部分として賃料を払っていない通路スペースを、催事のたびに他社に提供して荒稼ぎする――。それを許している教育長と市長の説明責任は重いと言わざるを得ない。

 なお、カルチュア・コンビニエンス・クラブ広報部と、「水曜日のアリス」の運営会社である株式会社ビルジャンには、和歌山市民図書館・民業部分の又貸しの事実の有無や、賃料額等について尋ねた質問状を10月4日に送ったが、これまでのところ、両社からはなんの回答もいただけていない。

(文=日向咲嗣/ジャーナリスト)

日向咲嗣/ジャーナリスト

日向咲嗣/ジャーナリスト

1959年、愛媛県生まれ。大学卒業後、新聞社・編集プロダクションを経てフリーに。「転職」「独立」「失業」問題など職業生活全般をテーマに著作多数。2015年から図書館の民間委託問題についてのレポートを始め、その詳細な取材ブロセスはブログ『ほぼ月刊ツタヤ図書館』でも随時発表している。2018年「貧困ジャーナリズム賞」受賞。

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