「視点をクリアにする情報誌 月刊サイゾー」の記事がウェブ上で読める「サイゾーpremium」の記事から、ユーザーの反響の大きかった記事をピックアップしてお届けします。
「この本を書いたきっかけは、学生も企業も古い形態の就職活動に固執している現状を見るに見かねて、この『就活』というろくでもない代物を解体したい、という思いに駆られたからなんです」
今日の就職活動においては、好むと好まざるとにかかわらず、リクルートの運営する就活サイト「リクナビ」に登録するところから始めざるを得ないと思い込まされている。しかし、このリクナビにはどのような基準で企業が掲載されているのかというと、それは単に、掲載する企業からお金をもらって載せているにすぎず、その本質は「ホットペッパー」といった広告ビジネスで成り立つフリーメディアとなんら変わりがない。それなのに、あたかも「リクナビ」に公平な情報が載っているように錯覚させられてしまうところに、まず第一の問題があるのだ。
「リクルートにとっては、たくさんのお金を払ってくれる企業=優良企業。学生にとっての優良企業を大きく掲載しているわけではないことは、論をまちません。就活産業に携わるリクルートは、どの企業が過酷な労働を強いて社員を使い捨てる『ブラック企業』であるか、本当は熟知していますが、そういった企業は、むしろたくさんのお金を払ってくれるお得意様。リクルートにとっての儲けにさえなれば、そのような企業の求人を、何回でも大きく、魅力的に掲載することに、なんのためらいもないのです」
さらにいえば、就活において、学生は「就活」という広告ビジネスという観点からは「商材」にすぎない。このことを自覚しない限り、学生は就活という泥沼から抜け出せないと、谷村氏は力説するのだ。ここに第二の問題がある。