マイナンバーカード、「3回引越したら再発行」が物議…なぜ再発行までに2カ月半も

　他人の情報が紐づけられるなど、さまざまな問題点が浮上しつつも、政府が普及に全力を挙げているマイナンバーカードに、あらたな懸念点が浮上した。それは、引越しを3回するとカードの再発行が必須となるという点だ。

　東京都北区のHPを見ると、「引っ越しの手続きの際にはマイナンバーカード（個人番号カード）をお持ちください」とある。これは、マイナカードの表面に住所・氏名を記載しているが、それらに変更があるとその旨を記載する必要があるからだ。

　そして、その記載欄が一杯になった場合について、「マイナンバーカードの記載欄が一杯になった場合は、カードを再発行することになります（再発行手数料は、無料です）。この場合、カードを回収させていただく必要があります」として、3回ほど引越しをしたり、結婚・離婚などで氏名が変更した場合など、記載欄が一杯になったら再発行しなければならないことが示唆されている。

　ここで問題なのは、「新しいカードは、地方公共団体情報システム機構で作成されるため、お手元に届くまで約2か月半かかりますので、ご了承ください」と言及されていることで、この場合の再発行には長い日数を要することがわかる。

　デジタル化を推進するための象徴であるマイナンバー制度において、カードの再発行に2カ月半もかかるというのは、不便極まりない。特に、保険証と紐づけている利用者にしてみれば、その間にマイナカードが使えないのは問題がある。

　そこで、Business Journal編集部は総務省に、3回ほど引越ししたら2カ月半もマイナカードが使えなくなる問題について質問を投げた。

――東京・北区のHPに、記載欄が一杯になったら再発行が必要との記述がありますが、2カ月半もマイナカードが利用できなくなるのは問題ではないでしょうか。

総務省担当者　再発行に2カ月半かかる、との記述があるとのことですが、どんなに長くても10日程度で再発行できるように努めています。

――たとえ10日であっても、カードが手元にない期間に保険証を利用したい場合、どうすればいいのでしょうか。

総務省担当者　その期間中に保険証を利用する際のため、代わりの証明書などを発行するか、現在検討中です。（現行の）保険証が廃止されるまでは、その原本を使用していただければと思います。廃止された後に、どのような形での取り扱いになるかは、正式な発表をお待ちください。

　来年秋にはマイナカードへの一体化に伴い、廃止される予定の健康保険証。与党内部からも延期論が出ているとも報じられているが、河野太郎デジタル担当大臣は、「丁寧に説明をし、不安を払拭していくことに努めていきたい」と述べ、保険証の廃止延期や存続はしない考えを示している。

　健康保険証廃止に向けて、拙速に進んでいるように見えるが、廃止するにしても懸念点を十分に払拭してからにしてもらいたいところだ。

（文＝Business Journal編集部）