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東京五輪メイン会場建設、迷走の舞台裏〜変動する建設費、負担配分めぐる国と都の綱引き

 新国立競技場の建て替えについては、計画の見直しを求める声が強まっている。世界的な建築家の槙文彦氏ら有識者100人が11月7日、一部の座席を取り外し可能な仮設席とするなど規模縮小を求める要望書を、都と文科省、運営主体のJSCに提出した。これに連動して東京建築士会や日本建築家協会、日本建築士事務所協会連合会など5団体も同様の要望書を出した。建築士ら6000人でつくる東京建築士会は都内で会見し、巨大な新競技場が都市景観を損ね、防災や維持費の観点でも問題があると指摘。計画見直しに会員らを参画させるべきだと訴えた。

 作家の森まゆみ氏ら、街並みや景観の保存に取り組んできた女性10人が、「神宮外苑と国立競技場を未来へ手わたす会」を結成。「景観を守り、日本の『もったいない』の美風を世界に訴える」とし、新設をやめて現競技場を改装して活用することを求めた。森氏は古い街並みが残る東京の谷中・根津・千駄木の地域誌を編集する傍ら、赤れんがの東京駅舎など近代建築の保存運動に携わってきた。新国立競技場の建設に、プロの建築士と普通の市民から「景観破壊」だとの声が上がった格好となった。

 前回1964年の東京五輪の時は、都内の景観破壊が進み、日本橋の上空が首都高速道路で覆われてしまったことが後に問題視される事態となった。06年には「日本橋川に空を取り戻す会」が小泉純一郎首相(当時)に首都高の約2キロを地下化して移設する案を提言した。

 そして今回の東京五輪。建築士や市民から景観保全を求める声が上がる一方で、建設予算の額や負担でいまだに紆余曲折が続く新国立競技場建設の行方に、五輪関係者の関心が集まっている。
(文=編集部)

BusinessJournal編集部

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