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債務整理ビジネスで増加する“違法弁護士”の実態(中編)

モラルも能力も欠如する「問題弁護士」の見分け方

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“弁護士がいない”弁護士事務所

 今回筆者は、以前、ある非弁提携事務所に事務員として所属していたA氏に接触し、同所の実態について取材することができた。A氏が言う。

「私はもともと、テレビCMも流している債務整理を専門とする大手の法律事務所で事務員をしていました。すべての決裁は弁護士がやっていましたし、私が知る限り違法行為はなかったのですが、仕事はベルトコンベアのようで、依頼人のためにやっているというよりは金儲けだなという印象です。所長である代表弁護士も、『弁護士会なんか怖くねえ』と言っていました。その後、昨年の7月ごろ、スカウトされて、Bという法律事務所に移りました。その翌月には同じグループのCという法律事務所が開設されて、そちらに移籍しましたが、埼玉県にある『B弁護士法人』と千葉県にある『C弁護士法人』は、事務長も事務局長も同じで、業務内容も全く同じでした」

「B弁護士法人」と「C弁護士法人」は、債務整理事案しかやらないのである。  

 転職したA氏は、事務所の実態を知り、驚かされた。

「まず、事務所に弁護士が出勤していないのです。『C弁護士法人』がオープンした日ですら、代表弁護士は現れず、代わりに弟さんに来てもらいました。もちろん、依頼人との面談や契約、消費者金融との和解交渉など、すべて事務員がやっていました。事務所の実権を握っているのは、事務長と事務局長で、弁護士は名義貸しなのです。さすがに私も『これはヤバいだろう』と思いましたよ。極論をすれば、債務整理というのは弁護士でなくてもできてしまうんですね。訴状はテンプレートがありますから、弁護士でなくとも書けます。また、消費者金融ごとに和解の相場というのが決まっています。依頼人にはそれを見せて納得してもらえれば、業者と交渉して和解します。  
 業者もわれわれが弁護士ではないことはわかりますから、交渉に応じる義務はないのですが、『あんたにはうちと交渉する資格はない。弁護士を出せ』と言えば訴訟になってしまいます。過払金が発生する場合、業者は最終的にお金を払わなければならないので、『B弁護士法人』や『C弁護士法人』のように安い金額で和解できるところは歓迎されるぐらいです。事務所に弁護士の先生がいても、かえって困ります。先生は債務整理のことを知りませんから、勝手に業者と交渉をして安い金額で決着されたら目も当てられません」(同)

「包括和解」に持ち込み、楽して儲ける弁護士  

 では、弁護士は何をしているのだろうか?

「簡単に和解するのに難色を示す依頼人もいますから、その場合は、業者ごとにストックをしておいて、ある程度たまってきたら、集団で訴訟を起こします。ただ、裁判を起こすといっても、和解金額をつり上げるのが目的であって、私が知る限り、判決まで行くことはありません。請求金額が大きくなると、業者に対して威嚇できるので、有利に交渉を進められるのです。一人ひとりの案件だと過払金満額の3割、4割しか払わないと言っていた業者も、100人まとめて訴訟を起こすと、7割払うから勘弁してほしいと言ってきますよ。事務所ではこれを『包括和解』と言っています。  

 ただ、裁判を起こす場合は、どうしても弁護士でなければなりません。先生には、その時に自宅から裁判所に行ってもらいます。先生がちゃんと裁判所に行ってくれるかどうか心配なので、われわれが送り迎えをする必要がありますが……。何人かの先生に聞いたところ、皆さん、鬱病で向精神薬を飲んでいて、仕事ができないのです。でも、そうはいっても食べていかなければならず、こうした事務所で働くこと(非弁提携をすること)になってしまったようです。仕事は裁判所に行くのが月4回で、お給料は最初の半年が50万円、その後は80万円になったそうです」(A氏)  

 A氏の話を聞く限り、「B弁護士法人」や「C弁護士法人」は、弁護士が名義を貸しているに過ぎない違法な非弁提携事務所と言える。松永弁護士も指摘する。

BusinessJournal編集部

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