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「【小説】巨大新聞社の仮面を剥ぐ 呆れた幹部たちの生態<第2部>」第68回

大震災の余韻が消えない中、不倫暴露作戦決行~“無名”な新聞社社長に注目を集められるか?

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 吉須と深井は二杯目のコーヒーに口をつけ、太郎丸が口火を切るのを待った。太郎丸の方はケーキにもコーヒーにも手をつけず、水を一口啜ると、パイプを取り出し、火をつけた。そして、紫煙をくゆらせながら、話し出した。

「結局な、新しい写真は撮れんじゃったわ。わしの秘書の杉田(玲子)君と村尾のデート現場くらいは、と期待しちょったんじゃが、駄目じゃった」
「ということは新しい写真はなしですか」

 吉須が遠慮がちに質した。

「じゃがな、大地震の前に撮りよった写真でも行けよる。安心せい」

 パイプを咥えた、しかめ面の太郎丸が残念そうに答えると、吉須は皮肉な笑みを浮かべただけだった。それを見て、深井がとりなした。

「二週間じゃ、仕方ないです。あと二週間あれば、何とかなったかもしれません。でも、タイムリミットがありましたからね」
「ふむ。深井君、その通りじゃ。“ご注進”の伊苅によればじゃな、村尾君がうちの杉田君と密会しよるのは2、3カ月に一度らしいんじゃ。運が悪かったちゅうことじゃ」
「会長、新しい写真なしでも、記事は載るということですね」

 皮肉な笑みを浮かべたまま、吉須が確認した。
(文=大塚将司/作家・経済評論家)

【ご参考:第1部のあらすじ】業界第1位の大都新聞社は、ネット化を推進したことがあだとなり、紙媒体の発行部数が激減し、部数トップの座から滑り落ちかねない状況に陥った。そこで同社社長の松野弥介は、日頃から何かと世話をしている業界第3位の日亜新聞社社長・村尾倫郎に合併を持ちかけ、基本合意した。二人は両社の取締役編集局長、北川常夫(大都)、小山成雄(日亜)に詳細を詰めさせ、発表する段取りを決めた。1年後には断トツの部数トップの巨大新聞社が誕生するのは間違いないところになったわけだが、唯一の気がかり材料は“業界のドン”、太郎丸嘉一が君臨する業界第2位の国民新聞社の反撃だった。合併を目論む大都、日亜両社はジャーナリズムとは無縁な、堕落しきった連中が経営も編集も牛耳っており、御多分に洩れず、松野、村尾、北川、小山の4人ともスキャンダルを抱え、脛に傷持つ身だった。その秘密に一抹の不安があった。

※本文はフィクションです。実在する人物名、社名とは一切関係ありません。

※次回は、来週3月28日(金)掲載予定です。

BusinessJournal編集部

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