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“無人ガソリンスタンド”は弊害だらけ?火災が起きたら誰が消すのか…高い事故リスク

文=千葉優子/ライター
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“無人ガソリンスタンド”は弊害だらけ?火災が起きたら誰が消すのか…高い事故リスクの画像1「Thinkstock」より

 消防庁が給油所(ガソリンスタンド)での従業員の常駐を義務づける規制を緩和することを検討し始めたとの報道を受け、無人給油所を認めるか否かが注目を浴びている。

 消防庁は隣接する商店などに危険物取扱者の資格を持った人がいれば、無人でも営業を認める方向で、2015年度中に消防法の規制を緩和する考えだ。人口過疎地での運営を支援する狙いがあるという。

 欧米では、ドライバーが自ら給油作業を行うセルフサービス方式のガソリンスタンドが広く普及し、アメリカやドイツでは9割を超えている。日本では安全性の観点から従業員が給油を行うフルサービス方式しか認められていなかったが、1998年の消防法改正でセルフ方式のガソリンスタンドが認められ、以後セルフ方式が増えている。

 石油情報センターの調査によれば、日本におけるガソリンスタンド数は14年6月末時点で約3万4700店。そのうちフル方式は約2万5400店、セルフ方式は約9300店だが、フル方式の数は年々減少傾向にある。

 ガソリンスタンド全体の数も過去10年でほぼ3割減少する一方、大きく増加しているのがセルフ方式だ。その増加率は同期間で約400店から約9300店と、20倍以上の伸びを示している。セルフ方式のガソリンスタンドでは吸殻入れの清掃や窓拭きなどのサービスを省略することで、従業員の数を少なく抑えることができるため、フル方式より安価にガソリンを販売することが可能となる。こうしたメリットがあるものの、セルフ方式は全国一律に普及しておらず、価格競争の激しい大都市圏を中心に普及が進んでいる。

 98年の消防法改正により、セルフ方式は一定の安全対策を講ずるという制限のもとで営業が許可されたため、無人での営業は認められていない。そのため、甲種または乙種4類の危険物取扱者が常駐して給油作業を遠隔で監視し、危険発生時には遠隔操作によるバルブ閉鎖などの安全対策上必要な措置を取ることが求められている。

 さらに、事業者だけでなく利用者にも危険物の取扱規制として「顧客に自ら給油等をさせる給油取扱所における取扱いの基準」が定められている。例えば、(1)ガソリンスタンド内は火気厳禁。喫煙は禁止。(2)給油中に注意がそれないよう、携帯電話の使用も禁止。(3)給油時はパーキングブレーキをかけ、エンジンをストップさせ、窓やドアは閉める。(4)静電気による火災を防止するため、静電気除去シートを触ってから給油する。(5)ポリタンク等の別容器への給油は禁止、などがある。

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