しかし、その余波は全世界へと伝染し、世界恐慌と化したのは周知の通りだ。日本では多くのマンションデベロッパーが連鎖倒産し、“ドミノ倒し”と揶揄された。上海ショックが再燃・深刻化した場合、少なからず日本の住宅市場にも影響を及ぼすだろう。
では、一体どのような影響が日本のマンション市場にもたらされるのかについて、以下に独自の分析を試みることにする。
「爆買い」は失速、様子見ムードへ
いまや「爆買い」という言葉を聞くと、誰もが中国を連想するほど旺盛な購買力を有する中国人。そのチャイナパワー(爆買い)の矛先は高級ブランド品や日本製の家電製品にとどまらず、都心のタワーマンションへも向かっている。五輪特需による将来の値上がりを見込み、湾岸マンションへの関心も根強い。
そのせいか、近年では東京の現地モデルルームを直接見ようと、中国の富裕層が不動産ツアーを組んで来日するのも珍しくない。数日間かけて販売センターを何軒か見て回り、高額マンションを即決して帰国するという。
その原動力となっているのが資産効果だ。昨年末から急上昇してきた上海総合指数は、今年6月中旬までの1年間で約2.5倍に値上がった。こうした資産効果(株式の含み益)が富裕層をマンション投資へと駆り立てている。相対的な価格の割安感や円安にも後押しされ、チャイナマネーが日本の不動産へ環流し、都心のマンション販売を下支えする。
しかし、わずか2カ月間で3割も中国株が下落すると、中国の富裕層といえどもダメージは免れない。当然、株価が下落局面へと突入すれば、その資産効果も剥落する。含み損を抱えたまま、不動産投資を続けるとは考えにくく、中国人による都心マンションの爆買いは失速する可能性が高まる。株の損失を不動産投資でリカバリー(穴埋め)しようという発想は起きないだろう。投資意欲は減退し、様子見ムードとなるのは必至だ。
緩和マネーが株式市場に戻るか
あくまで上海ショックが再燃・深刻化した場合という前提ではあるが、爆買いがスローダウンすれば、対する日本のマンション分譲業者も販売戦略の見直しを迫られる。特に中国人を当て込んでいたような物件は、販売時期の先送りが避けられないだろう。