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日本国内には相続税対策として都心のタワーマンションを買いたいという富裕層がいるため、マンションデベロッパーは値下げ販売に踏み切ってまで売り切ろうとはしないはずだ。そのため、マーケットは大口の顧客(中国人)を失い、地合い(投資環境)は停滞ムードへと突入。新規の供給数は先細りを余儀なくされるだろう。中国経済の下振れ不安が払拭されない限り、爆買いの復活は期待しにくい。
唯一、東京都心のマンション市場が負のスパイラルへ突入するのを抑止できるのが低位安定する住宅ローン金利だ。国内に目をやると「2年間で物価上昇率を2%まで引き上げる」という日本銀行の物価目標は、いまだ到達できていない。引き続き異次元の金融政策が続けられるため、住宅ローン金利が大きく上昇する可能性は低い。当面、住宅ローンの「借り手市場」は不変というわけだ。
日本同様、欧州でも緩和的な金融政策が続けられており、溢れる世界の緩和マネーが行き場(投資先)を探している。その受け皿として再び株式市場が選ばれるかが「世界同時株安」脱出のカギを握る。
震源となった中国に残された課題は、対策が後手に回った中国政府に対する失望感の回復だ。世界第2位の経済大国にふさわしい成長戦略の策定が急がれる。その成果が日本のマンション市場停滞の先行きも左右することになるのだ。
(文=平賀功一/e住まい探しドットコム代表、住宅コンサルタント)
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