増税後のほうが値引き交渉などの余地が大きくなる?
つまり、年収などによっては「消費税8%のうちに」と焦る必要がないわけです。むしろ、増税前には駆け込み需要が発生して、不動産会社やハウスメーカーなどは大忙しになりますが、増税後は客足が絶えてウェルカム状態に。売り手市場から買い手市場に変化して、価格が下がる可能性もありますし、そこまでいかなくても個別に値引き交渉などをしやすくなる可能性があります。
消費増税による負担増の影響が小さい人、ほとんどない人であれば、むしろ増税実施後まで待って、ジックリと物件探しをしたほうが、安くていい物件を見つけられるかもしれません。
親からの贈与を期待できる人も今年10月以降に
さらに、住宅取得に当たって両親や祖父母などから多額の贈与を期待できる人も、増税後のほうが得策です。
両親や祖父母などの直系尊属から住宅取得のための資金贈与を受けた場合、一定額まで非課税になる制度が実施されています。15年末までの非課税枠は最高で1500万円でした。それが、図表3にあるように、16年1月から17年9月末までの間に消費税8%で買った場合、あるいは中古住宅でそもそも消費税がかからない場合などには、この非課税枠が1200万円に縮小します。
しかし、16年10月から17年9月末までの間に税率10%で買った場合には、非課税枠がなんと3000万円に拡充されるのです。贈与税には年間110万円の基礎控除がありますから、合わせて3110万円まで非課税で贈与を受けられる計算です。
駆け込み需要後の反動減を緩和するための特例
これは、先に触れた建築請負契約の経過措置によって、16年9月末までに駆け込み需要が増加し、16年10月以降反動減が発生する事態を回避する狙い。両親などから多額の贈与を期待できる人は、「経過措置終了後に贈与を受けて家を買ったり、建てたりしてください、そうすれば税金が安くなりますよ」ということです。
そうすることで、駆け込み需要を抑制し、反動減の落ち込みをできるだけ少なくし、住宅の売れ行きの変動幅を小さくしようというわけです。住宅業界の経営の安定、ひいては日本経済の景気の安定にもつながると期待しているのでしょう。