同じ会社の人同士、なぜ老後資産&年金に数倍の差?投資しないなど「あり得ない」現実
株式や不動産の価値は、賃金や預貯金の利回りより高い
仏経済学者トマ・ピケティの『21世紀の資本』(みすず書房)が昨年ブームとなりましたが、これは格差問題に警鐘を鳴らす書籍と一般に受け止められています。しかし、ファイナンシャル・プランナーの筆者は、むしろ「会社員が投資を行うべき理由を示した書」と受け止めました。
同書が指摘したとおりに、富裕層は株式や不動産を所有し、その上昇率が賃金上昇率を上回ることで格差が拡大することが事実なら、これはこう言い換えることもできるからです。
「同じ会社員同士で、株式や不動産を保有し資産形成に取り組んだ人とそうでない人にも資産格差が生じる」
自己責任で資産運用を行う退職金制度、確定拠出年金(企業型)では、すでに運用格差があることが明らかになっており、老後の受取額は3倍以上に開くものと思われます(詳しくは拙著『誰でもできる確定拠出年金投資術』(ポプラ社)を参照ください)。同じ給与、同じ仕事をしていたはずが、老後の受取額だけ3倍に開くのですが、これは資産運用をしたか、定期預金に塩漬けにしていたかの差です。
長い目でみて、自分の資産の一部を投資に振り向けておけば、そうでない人との資産額の違いが生まれることになります。つまり、「会社員兼投資家」になっておくことは、自分の資産形成の増加スピードを高めることになるわけです。
資産の一部を投資に振り向けておけば、老後破産から逃れられる
もちろん、財産のすべてを投資に回す必要はありません。むしろ、全財産で投資をするべきではありません。一定の金額を預貯金で残しておくことは財産全体での元本割れの影響を抑えてくれるという重要な役割があるからです。
しかし、同じお金の置き所を考えたとき、投資を除外した会社員には将来大きな経済的格差があり得ることを覚悟する必要があります。
今世紀に入って、投資の条件(投資情報、売買システム、商品設計、手数料や税制等)は個人にとって不利のない水準となってきました。無理をする必要はありません。貯めていくお金の一部を投資に振り向けていくことで、私たちは経済的問題を解決するきっかけを得ることができます。ひいては老後破産から逃れられるチャンスもそこに生まれることになるわけです。