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小林敬幸「ビジネスのホント」

最近やたらと目にするフィンテック、結局、儲かるビジネスにどうすればなるのか?

文=小林敬幸/『ビジネスの先が読めない時代に 自分の頭で判断する技術』著者
最近やたらと目にするフィンテック、結局、儲かるビジネスにどうすればなるのか?の画像1「Thinkstock」より

 今回は、ITと金融とが結び付いたフィンテック(FinTech)ビジネスの可能性を探ってみたい。「我こそはフィンテック」と称する多くのプロジェクトが世に出てきた。セキュリティ、投資サポート、家計簿、モバイル決済、家庭の電気代管理――。それらを分類して鳥瞰するマップは、書き込んでいく分野も企業も増えすぎて曼荼羅図のように複雑になり、一目でよくわからなくなってしまった。ここは、プロダクトアウトの発想ではなく、シンプルにユーザーの発想で、金融の本質からの目線を持って整理して、ビジネスの可能性を考えてみたい。

 フィンテックはその名が示すように、IT技術と金融の融合である。そこで、まず金融部分とIT技術部分とに分けてみてみよう。

ユーザー目線でみた金融とは

最近やたらと目にするフィンテック、結局、儲かるビジネスにどうすればなるのか?の画像2『ビジネスの先が読めない時代に 自分の頭で判断する技術』(小林敬幸/KADOKAWA/角川書店

 一般の人が普段の生活を振り返ってみれば、金融に接するのは、お金の決済、お金の貸し借り(資産の管理・運用)、保険の3つだけだ。これは実に正しい日常の感覚で、経済学の教科書に書いてある、金融の3つの機能である、決済、信用創造、金融仲介機能をおさえている。

 従って、この3つを実現するサービスは、金融の本質的部分に迫るビジネスであり、大化けする可能性がある。ただし、それだけに金融当局の厳しい規制に従わなければならず、実現が難しくなる。一方で、見やすい画面でこれらの情報を提供したり、使い勝手のよいユーザーインターフェイスでサポートする金融付随的ビジネスもある。これらは金融の本質でないだけに大化けする可能性は低いが、あまり厳しい規制もなく、すばやくビジネスを立ち上げられる。

 それでは、決済、貸し借り、保険のそれぞれの機能を担うビジネスをみてみよう。

(1)決済

 決済は、フィンテックビジネスの主戦場である。しかし、先進国では金融機関のオンライン化、インターネットの普及により、単純な決済サービスではあまり儲からなくなっている。実際、日本の銀行はATMサービスで高収益を得られていない。

 銀行口座間など金融機関間の決済ではなく、口座のない人や小規模事業者が安価に使える決済サービスが、フィンテックの可能性のある領域だろう。

小林敬幸/『ふしぎな総合商社』著者

小林敬幸/『ふしぎな総合商社』著者

1962年生まれ。1986年東京大学法学部卒業後、2016年までの30年間、三井物産株式会社に勤務。「お台場の観覧車」、ライフネット生命保険の起業、リクルート社との資本業務提携などを担当。著書に『ビジネスをつくる仕事』(講談社現代新書)、『自分の頭で判断する技術』(角川書店)など。現在、日系大手メーカーに勤務しIoT領域における新規事業を担当。

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