マンション高騰、一般人が手の届かない水準に…築浅の中古「掘り出し物」が安く買える!
面積縮小や仕様の引き下げなどの動きも
ではどうするのかといえば、専有面積の縮小や仕様のグレードダウンです。同じ「3LDK」であっても、これまでは80平方メートルだったものを75、70、65平方メートルと狭くしていく可能性があります。1980年代後半から90年代初頭にかけてのバブル期には、価格上昇を抑制するため、専有面積50平方メートル台の3LDKが売り出されたこともあったほどです。
現状は、まだそこまで極端に走る段階ではありませんが、ジワジワと面積縮小が始まっています。3LDKという表示にごまかされずに、専有面積をキチンと確認することが大切になってきます。
物件を見極める目が必要になってくる
建物の構造面や住宅設備のグレードダウンも強まりそうな情勢です。上下階を分けるコンクリートの厚さ(スラブ厚)を薄くしたり、コンクリートの質を落としたりといったことが始まるかもしれません。設備面でもシステムキッチンやユニットバスのグレードを落とすような事態がやってくるのではないでしょうか。
それだけに、これから新築マンションを探そうというときには、価格を見るだけではなく、マンションの構造、設備などについてしっかりと勉強して、物件を見極める目を身につけておく必要があります。
中古マンションのほうが安心感もある
その意味では、あまり売れない時代に新規に売り出された築年数の浅い、いわゆる“築浅”の中古マンションに着目するのもひとつの方法かもしれません。売れにくいなかで完売するために、構造や設備などのグレードがかなり高く設定されていましたし、実際に何年か人が住んでいた物件ですから、新築よりも安心できるかもしれません。
新築は物件数が減少して選択肢が狭くなっていますが、中古マンションはまだ比較的物件数が豊富ですし、先に触れたように市場環境が買手有利になっているので、指し値なども効くようになっています。
新築マンションだけにこだわらずに、中古マンションもターゲットにすれば意外な発見があるかもれません。
(文=山下和之/住宅ジャーナリスト)
●山下和之(やました・かずゆき)
住宅ジャーナリスト。各種新聞・雑誌、ポータルサイトなどの取材・原稿制作のほか、単行本執筆、各種セミナー講師、メディア出演など多方面に活動。「山下和之のよい家選び」も好評。主な著書に『よくわかる不動産業界』(日本実業出版社)、『マイホーム購入トクする資金プランと税金対策』(学研パブリッシング)など。