貯蓄が少なくても安全なケースとは?
30~40代になると、状況はさらに細かく枝分かれしていきます。「住んでいる家は持ち家か、賃貸か(または親と同居しているか)」「結婚しているか、独身か」「結婚している場合は共働きか、子供がいるか、子供の教育費はどれくらいかかりそうか(私立や留学などの進学を希望しているか)」「年間どのくらいのペースで貯蓄ができそうか」「将来は実家に戻る予定がありそうか否か(逆に、親への仕送りが必要になりそうか)」なども影響してきます。
貯蓄が少なくてもやっていけるケースとは、どんなものでしょうか。例えば、「子供がいても親の家に3世帯で同居していて住居費の心配がない、その後もずっと住み続ける予定があり、転勤の可能性がほぼゼロ、子供はずっと公立志望、夫婦共働きで定年を延長して働こうと思っている」というケースが挙げられます。
一方、「現在は賃貸住まいだけど、これから住宅を買いたい(しかも、けっこう高い物件)」「夫婦どちらかが仕事をすぐに辞めたいと思っている」「子供は中学校から私立に進学希望で、将来は留学もさせたい」というケースなら、しっかり貯蓄しておく必要があるでしょう。
今、貯蓄がない人ほど要注意!
ただ、ひとついえるのは「現在、貯蓄がない人こそ、将来に向けて貯めておく必要がある」ということです。なぜなら、貯蓄がない人は、「入ってきたお金をすべて使いきる生活=必要なお金が多いタイプ」だからです。
例えば、年間の手取り収入が400万円のCさんとDさんがいたとします。Cさんは貯蓄が0円、Dさんは毎年100万円貯めています。つまり、1年間に必要なお金は、Cさんが400万円、Dさんが300万円になります。
もし、仕事を辞めることになったり収入が減ったりした際に、2人とも「今までと同じペースでお金を使いたい」と考えたら……より貯蓄しておく必要があるのは、Cさんだということがわかりますよね。
現役引退後に向けて準備するお金は、貯蓄(現金)ではなく、確定拠出年金などのかたちでもいいでしょう。いずれにしても、現時点で貯蓄がない人ほど、将来使えるお金を今から準備しておく必要があるというわけです。
このように、さまざまな条件や将来の方向性によって、準備しておくお金(=貯蓄)の実態は、かなり異なります。
とはいっても、「同世代のみんなは、どのくらい貯めているの?」と、平均的な水準が気になりますよね。それは、次回で紹介します!
(文=西山美紀/マネーコラムニスト)