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住宅ジャーナリスト・山下和之の目

老後「住宅格差」、カネ次第のエゲツない実態…洗面所・浴室共同で学生アパート並みも

文=山下和之/住宅ジャーナリスト

家賃5万円では広さも設備も限られる

 サービス付き高齢者向け住宅という賃貸住宅ですから、当然家賃が必要になってきます。その家賃は18平方メートル以上20平方メートル未満では1万円から26万円までと幅広く、最も多いのは5万円だそうです。20平方メートル以上22平方メートル未満でもやはり5万円が最多で、22平方メートル以上25平方メートル未満だと最多は6万円に上がります。

 この家賃では広さも設備も限られるということでしょう。

キッチン、浴室なしは安全のため?

 サ高住の運営会社サイドからすれば、キッチンや浴室を個別に設置しないのは、広さが足りないという事情のほかに、「居住者の安全を考えてのこと」という言い分もあるようです。たしかに、厚生労働省の調査によると、毎年4000人以上の人が住宅内で溺死していますから、高齢者にとって浴室は危険がいっぱいです。

 しかし、それもバリアフリーの徹底によってかなりカバーできるはずです。居室と浴室の温度差を解消し、すべりにくい素材、手すりや緊急通報装置の設置などによって、安全性を高めることは可能です。

自分で選択して入る人はまずいない

 こうした専有面積が狭く、家賃の安いサ高住については、多くの場合本人が選択して入居するのではなく、介護などに困った家族が探して入居させています。本人にはもう判断能力がなくなっているか、ある程度あっても、周りに遠慮して従わざるを得なくなっているのではないでしょうか。

 もちろん、ご本人やご家族にはそれぞれに事情があるにしても、現代版の「うば捨て山」といった印象は拭えません。

ホテルライクなサ高住だってある

 その一方では、富裕層向けのサ高住もジワジワと増えています。東急沿線を中心に「グランクレール」ブランドのサ高住を展開している東急不動産がその代表格といっていいでしょう。

 その広さや設備、管理、また月額の負担などをみると、これまで見てきたサ高住とは大違い。ハイグレードマンションと同様に、エントランスにはコンシェルジュがいて、おしゃれなカフェなど共用施設も充実しています。

月額負担が50万円を超える物件も

 月額の負担も、成城学園前駅近くの専有面積40平方メートル台で、一括払い方式だと80歳の入居時が4551万円で、月額費用は17万8000円。一括払いのない月払い方式では、入居時一時金が約95万円で、月額費用が49.4万円となっています。

 しかもこのなかには食費は含まれていませんから、実質的な負担は50万円以上、60万円、70万円と膨らんでいきそうです。

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