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欧州では、18世紀から19世紀末にかけて絶対的所有権の考え方がとられていたが、19世紀末から20世紀にかけて相対的所有権の考え方に改められた。絶対的所有権では所有が最優先されるのに対して、相対的所有権では利用が最優先される。相対的所有権の下では、土地所有は公共の福祉に役立つものでなければならず、土地所有者がそのように使用する義務を負うとされる。
久高島における土地総有制
日本のなかで、地租改正以前の仕組みがいまだ続いている地域がある。沖縄県南城市に属する久高島である(人口約270人)。久高島では土地は、村落(字)のものという「総有制」をとっている。それを明文化したものが、久高島土地憲章(1988年)である。土地は、国有地などの一部を除き、字の総有に属し、利用権の享受資格は、先祖代々字民として認められた者および配偶者にある。字外出身の者は3年間定住し、土地管理委員会と字会の承認を得られれば利用できる。利用がなくなった場合は、字に返還しなければならない。
地目によってより具体的に定められている。屋敷地(宅地)は、土地使用貸借契約から2年以内に着工しなければ、返還しなければならない。子孫不明、家族祭祀の途絶えた場合は、土地管理委員会が回収する。農地は、5年以上放棄したものは返還しなければならない。事業用地は、利用が済み次第、原状に復して返還しなければならない。
久高島では、私的所有を認めなかったことが適切な管理につながり、耕作放棄や所有者不明の土地発生を防ぐ効果を生んでいる。
現代における総有的管理 所有と利用の分離
強い私的所有権が認められた現代の仕組みを、久高島のような仕組みに戻すことはもちろんできない。しかし、人口減少下で今後、放置、放棄されたり最終的に所有者不明になったりする土地がますます増加する可能性を考えれば、総有的な管理の仕組みを導入する必要性は高い。
具体的には、放置、放棄される土地を第三者が共同管理する仕組みを導入することが考えられる。所有権には手を付けず、利用の共同化を進めるものである。すなわち、放置、放棄された土地、あるいは将来的にそうなる可能性が高い土地の利用権を集約して、次の利用につなげていく。
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