専有面積の圧縮が始まっている
実のところ、その専有面積の圧縮がすでに始まっているのです。
図表1をご覧ください。これは首都圏新築マンションの平均価格と平均専有面積の推移を示したグラフです。ミニバブルといわれた07年、08年に価格が上昇、グロス価格を抑制するために専有面積は小さくなりました。その後は、横ばい期間に入ったのですが、この2~3年の価格上昇によって、再び専有面積の圧縮傾向が始まっています。
その結果、最近ではもっとも専有面積が広かった02年の平均が78.06平方メートルだったのに対して、15年には70.80平方メートルまで縮小しています。16年にはその傾向が加速、1~9月の平均は69.99平方メートルと、ついに70平方メートルを切っているのです。0212年からの14年間で8平方メートル以上狭くなった計算です。
3LDKなら80平方メートル以上はほしいところ
ファミリータイプの3LDKのマンションといえば、70平方メートル台が常識で、できれば80平方メートル程度ほしいところです。事実、マンションの価格が低下していた2000年代初頭には80平方メートル台のゆとりある3LDKが増えて、平均でも80平方メートルに近づきました。
それが、今では再び平均で70平方メートルを切っているのです。最近は家族数の減少によって、新築物件に占める3LDKの割合は少なくなっていますが、それでも郊外部などではやはり3LDKが大きな勢力を占めていることは変わりません。
にもかかわらず、今後は60平方メートル台の3LDKが増えることになるでしょう。価格を抑えるためにはある程度仕方のないこととはいえ、そんな物件はお勧めできません。
将来の資産価値面でも大きなマイナスに
なぜ、お勧めできないのか。ひとつは、何より使い勝手の悪さです。
70平方メートル以下の3LDKだとリビングや居室の面積が小さくなり、たいへん使い勝手が悪くなります。5畳以下の居室などが含まれ、実質的には居室として使い切れずに、納戸のようになってしまうケースが少なくないのです。間取りプラン上は3LDKであっても、実質的には2LDKとしてしか使えません。
いまひとつが将来の資産価値の低下です。そうした使い勝手の悪いマンションは、中古住宅としての査定時の評価が低くならざるを得ません。