4月18日、経済産業省は「コンビニ電子タグ1000億枚宣言」を策定、発表した。2025年までに、セブン-イレブン、ファミリーマート、ローソン、ミニストップ、ニューデイズの全取扱商品(推計1000億個/年)に電子タグを利用することについて、一定の条件の下で各社と合意することができたという。
全商品に電子タグを付けて、カゴに入れた商品とその商品を瞬時に電波で読み取ることで、レジ時間の短縮と人手不足に対処しようというもの。一部のスーパーマーケットやコンビニエンスストアで実施されている、客が自らバーコードをスキャンさせるセルフレジとは違う。客は、商品を入れたカゴをセルフレジに置くだけで清算ができるシステムである。現在、ファストファッション「GU」の一部店舗で実施されているセルフレジとほぼ同じ方式だ。ちなみに同宣言は、電子タグについてこう説明している。
「電子タグとは、電波を利用して非接触で個体を識別するツールです。バーコードのように、ほぼ全ての商品に電子タグが貼付されれば、電子タグの情報を電波で読み取ることで、いつ、どこに、何の商品が、どの程度流通しているかを簡単に把握できるようになります。
電子タグを利用することで、小売事業者としては、レジ・検品・棚卸業務の高速化、防犯ゲートを用いた万引防止、消費期限管理の効率化による食品ロス削減など、様々な波及効果が期待されます。
さらに、電子タグから取得された情報をメーカー・卸を含むサプライチェーン上で共有することができれば、市場に流通している在庫量を踏まえてメーカーが生産量を柔軟に調整したり、トラックの空き情報を共有して共同配送を進めたりするなど、製造・物流・卸・小売の垣根を越えたムダの削減を実現することが可能です」
16年7月2日付本連載記事『ユニクロ系、究極の人員削減施策が始動か』でも述べたが、セルフレジを実現することは、30年以上前から世界中の流通業界の悲願である。それを今回日本では、官民一体となって2025年までに実現させると宣言したのだ。
しかし、実現のハードルはかなり高い。GUがセルフレジを導入する際、筆者は「成功のカギはタグのコストだ」と指摘したが、今回の宣言を実現するための条件の一つにも、以下のとおり「電子タグが1円以下になっていること」と明記されている。