そこで注目されたのが中古マンションです。図表2でもわかるように、13年あたりから新築マンションが急速に上がり始めるまで、中古マンションは2500万円前後で極めて安定した動きを続けてきました。新築に比べて2000万円以上安く、たいへん魅力です。
最近では新築との価格差が縮小傾向に
この差は新築の激しい上昇によってより大きくなりました。図表3にあるように、15年の新築と中古の価格差は2500万円を超え、中古価格は新築の52.4%まで低下したのです。新築なら中古のほぼ半値で手に入る、そんな市場が出現しました。中古が人気になったのは当然のことです。
しかし、新築につられて中古もジワジワと価格が上がり、16年には価格差が2500万円を切り、新築に対する中古価格の割合は55.5%に上がりました。まだまだその差は大きいとはいえ、中古住宅を買う人たちはある意味では、新築を買おうとする人たちよりはるかに価格に対して厳しい目線を向けています。
まあ、考えてみれば5000万円の物件が500万円上がったら1割アップですが、2500万円が500万円上がれば2割の上昇です。価格動向により敏感な中古住宅取得層ですから、こうした動きがマイナスに作用するであろうことは否めません。
新規登録価格の値付けも弱気に
実際の価格動向にも微妙な変化がみられるようになってきました。図表4は、首都圏中古マンション成約価格を平方メートル単価でみたグラフです。棒グラフの平方メートル単価はなだらかな右肩上がりですが、前年比の折れ線グラフは13年から15年までは10%近い水準で推移していたのが、このところは5%前後まで低下しています。
依然として上昇基調ではあるものの、決して強含みとはいえず、いずれ右肩下がりになるのではないかという不安を感じる動きといっていいでしょう。
実際、新規登録時の平方メートル単価をみると、天井感が強まっています。図表5をご覧いただくとわかりますが、新規登録時の平方メートル単価の前年比を示す折れ線グラフは明らかに右肩下がりのカーブを描いています。17年に入ってからは前年比の数値が0%台の月もあります。まだプラスを維持しているとはいえ、早晩マイナス圏に陥るのではないかというレベルといってもいいのではないでしょうか。