わざわざ確定申告して「税金が安くなる」方法!
配当金の取り扱いは少し特殊
ただし、確定申告をすると、源泉徴収された税金が還付されるケースもあります。その場合には、確定申告をしたほうがお得、ということになります。源泉徴収の税率は一律20.315%と決められており、個人の事情を考慮した税率となっていません。そのため、確定申告をすることで、税金が返ってくる場合もあるのです。実は、配当金は税金の面で少し特殊な扱いになっているのです。配当金に関する申告方法や税率等の仕組みについてまとめたものが、以下の表となります。
この表の要点は、
(1)配当金は確定申告をするかしないかで税率が異なる
(2)「配当控除」、「損益通算・繰越控除」という節税につながるかもしれない制度を利用できるかどうかは、確定申告の方法によって異なる
ということ。確定申告をするかどうかで、適用できる制度が変わるのは配当金に限った話ではありませんが、確定申告をするかどうかで税率が変わるというのは意外な感じがしませんか?
そもそも総合課税と分離課税とは何か
そこでまずは、(1)税率が異なる「総合課税」「申告分離課税」「源泉分離課税」の内容について補足しておきます。所得税は個人の1年間の所得に対してかかる税金です。給料は「給与所得」、配当は「配当所得」といった具合に、内容によって所得を10種類に分類して計算します。具体的には、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、譲渡所得、一時所得、雑所得、退職所得、山林所得の10種類になっています。各所得の内容については、本連載の中で必要に応じて触れていますので、ここでの説明は割愛します。
所得税は、基本的にそれぞれの所得を計算した上で合算し、それに対して税率を乗じて計算します。合算した所得に課税するため「総合課税」といいます。ただし、一部の所得については、他の所得と分離(区別)して所得税を計算します。これを「分離課税」といいます。なお「分離課税」のうち所得を得た人が自分で税金を申告する方法を「申告分離課税」といい、税金を所得から天引きすることで手続きを完了させる方法を「源泉分離課税」といいます。