がん保障は「がん保険」以外で?無料、罹患で住宅ローン残高半減、保険料全額返戻も
貯蓄型の特定疾病保障保険に加入する
がん保障は、がん保険以外の保険でも得ることができる。たとえば「特定疾病保障保険」は、がん、急性心筋梗塞、脳卒中を保障する保険で、がんは診断確定で保険金が受け取れる。死亡でも同額の保険金が受け取れる商品が一般的だ。終身保障タイプであれば解約返戻金があるものが多く、たとえばオリックス生命の「With」に次の条件で加入したとする。
・被保険者:30歳男性
・保険期間:終身
・保険料払込期間:60歳まで
・保険金額:1000万円
保険料は月2万4,930円で60歳までに総額で約897.4万円を支払うことになるが、保険料を支払い終えた直後には解約返戻金が約920.9万円(払込保険料総額の102.6%)になっており(※)、解約して受け取ると無料で保障を得たばかりか、少し増えて戻ってくることになる。保険料を払わずに定期預金などほかの商品にしていれば得られた利息などの収益を長期間得られなくなっているので、本当の意味では無料ということではないのだが、低金利の現在ではまずまず魅力的な商品だ。
※オリックス生命保険 ホームページ 「契約例(特定疾病保障保険ウィズ)」より
お金が戻ってくるがん保険に加入する
実はがん保険のなかに、払い込んだ保険料が戻ってくるタイプがある。東京海上日動あんしん生命の「がん診断保険R」がそれで、70歳になるとそれまで払い込んだ保険料が健康還付金として戻ってくるのだ。ただし、戻ってくるのは主契約の診断給付金に充当される保険料に限られ、特約部分の保険料は戻ってこない。
そして最大の問題は、70歳までに診断給付金を受け取った場合、70歳時に受け取れる健康還付金から診断給付金の分が差し引かれてしまうことだ。がんと診断されてもされなくても、受け取れる総額が主契約の払込保険料総額を下回ることがないのは魅力だが、上回る可能性も低く、保障としての機能は高くないと考えるべきであろう。
がんが心配であったとしても「がん保険」だけが選択肢ではない。ここに挙げた方法も含め、あなたに合った方法を広く検討してみてほしい。
(文=平野雅章/横浜FP事務所代表、CFP、1級ファイナンシャル・プランニング技能士)