これから日本社会は大きく変わろうとしています。人口減少、超長寿化、そして低経済成長(ないしはゼロ成長)が同時に進行し、私たちは経験したことのない時代に突入していきます。
社会経済が変われば、「家計」はその影響を直接的に、かつ強力に受け、対応の変更を迫られます。ともすれば、これまで家計管理として「通説」や「常識」と考えられていたことが、将来の非常識になるかもしれません。
家計は人生と共にあります。一生涯付き合っていくものです。ですから、家計相談ではおのずと長期的視点に立って考えることが求められます。10年後、20年後の相談者の家族構成を想定しながら、ああかな、こうかなと人生設計を一緒に考えるわけです。
ところが、社会経済が大きく変わろうとしていることを背景にとらえると、「さて、今のやり方が将来にも果たして通用するのか」と私自身悩ましく思うことが、現場で増えてきました。
そこで、考えてみることにしました。日本社会の変化に伴って家計管理はどのように変化していくのか、です。あくまで推測ではありますが、将来どうなるかを考えることで、今、目先の取るべき行動にヒントを与えてくれるでしょう。どうがんばっても予測の域は超えませんので、「そういう考え方もあるのか」と参考にお読みいただけたらと思います。いわば「未来予想図~家計編」です。
同時に、ぜひご一緒に考えていただきたいなとも思います。なぜなら「社会」をつくるのは、構成員である私たち一人ひとりだからです。私たちがどう考えるか、何を望むのかによって、日本の未来予想図はいかようにでも変わりうるではないかと思うのです。それくらいに今の日本社会は、歴史的にも重要な岐路に立たされているのではないかと思います。このコラムが私たちの“新社会”を考えるキッカケになればうれしいです。
さて、前置きが長くなってしまいましたが、今回取り上げたいテーマは「教育費」。人生の3大資金のひとつともいわれるほど、家計にとっては高額な支出です(もう2つは住宅資金と老後資金)。“人生100年時代の教育費事情の予測”を、2回に分けて考えてみたいと思います。
現状の「教育費」の特性
予測の前に現状の確認です。教育費というと、子供が生まれてから大学・大学院卒業まで学校へ納める入学金や授業料などの学校教育費、家庭ごとに行われる塾・習い事などの額を指します。総額となると、子供が社会人になるまでの合計額ととらえるのが一般的です。