「警察」をかたる高齢者狙いの詐欺&ATM詐欺が激増!「カード預かる」は100%詐欺!
特殊詐欺の被害防止策を紹介していく企画の第2弾。今回は警視庁が2月に発表した「平成29年における特殊詐欺の状況について」を元に、同庁犯罪抑止対策本部の山上嘉人警視と宮原敏昭警部に話を聞いた。各金融機関や行政などが盛んに啓発活動を展開しているにもかかわらず、なぜ人は騙されてしまうのか。次に狙われる手口は何か、考察したい。
被害の多い特殊詐欺は3パターン
特殊詐欺といわれても、よくわからない方のために、概要を説明したい。主なパターンは3つとなる。なかでも高齢者が被害に遭いやすいといわれているのが、「オレオレ詐欺」と「還付金等詐欺」だ。
1890人分の年収が被害
警視庁が今年2月2日に発表した「平成29年における特殊詐欺の状況について」を紐解いていきたい。平成29年の東京都内の被害は約79億8,000万円、認知件数(届出件数)は3510件、前年と比べて認知件数は1478件(73%)、被害額は約18億1230万円(29%)も増加している。
被害に遭われた方の75%にあたる2633人が70代以上で、男女別では約8割が女性だ。被害手口は、依然として孫や警察官などをかたってお金などを騙し取るオレオレ詐欺が全体の60%を超え、2位の架空請求19%より約3倍も多い。
驚くべきは、その被害額だ。最新データ(平成30年2月末)によれば、被害額は約79億8000万円にのぼる。ちなみに79億8000万円を給与所得者の平均年収422万円(国税庁平成28年分民間給与実態統計調査結果について)で割ると、約1890人分に匹敵する。被害に遭われた方の心情を思えば、被害額の大小の話ではないと思うが、1890人もの人が1年間汗水たらした収入総額相当分を失っているのだと考えると、改めて被害の大きさを突き付けられる思いだ。
ところで「特殊詐欺は、何百万円単位で詐欺に遭う高額被害」と思っているなら、それは大きな誤解だ。オレオレ詐欺では1000万円以上の高額被害も依然として多発しているものの、表を見てもわかる通り、一番被害額が大きいのは100万円未満だ。