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鬼塚眞子「目を背けてはいけないお金のはなし」

「警察」をかたる高齢者狙いの詐欺&ATM詐欺が激増!「カード預かる」は100%詐欺!

文=鬼塚眞子/一般社団法人介護相続コンシェルジュ協会代表、保険・介護・相続ジャーナリスト

 最近は金融機関などの声掛けにより、窓口を利用した特殊詐欺は平成28年と平成29年は全体で3件と、ひと昔前と比較すれば大幅に減少し、被害者が金融機関の窓口を利用して現金を準備した回数も、平成28年の734回から平成29年は570回と減少している。

 一方、ATMを利用した特殊詐欺の被害は、大幅に増加している。被害者に現金を準備させて詐取する手口の詐欺は、平成28年は1180回、平成29年は1200回と横ばいだが、ATMで振込をさせる還付金等詐欺については、平成28年の174件から平成29年の653件に大幅に増加しているのだ。

 山上警視は「犯人グループは、声を掛けられないATMを利用しています。『お金はATMで準備してほしい、ATMに着いたら電話してほしい』と言われたら、確認することが大切だ」と話す。

 振込詐欺にも潮流が見られる。それが受け渡し方法の変化だ。

「オレオレ詐欺でいえば、窓口振込や現金送付の被害もあるが、最近の傾向としてキャッシュカードや現金の手渡しが多発している。他人にキャッシュカードや現金を手渡すのは、間違いなく詐欺です」(宮原警部)

劇場型詐欺の実態

 実際、人はどんな手口で詐欺に遭うのか。水際で被害を防いだA氏の例を紹介しよう。

 都内に住むシニアのA氏宅に、警視庁をかたる電話があった。

「先ほど、B百貨店でクレジットカードを使ってお買い物をされたと思いますが、お心当たりはありますか? 失礼ながら、『あまりに高額でその時の態度に不審を抱いた』とB百貨店から通報がありました」

 覚えがなかったA氏がうろたえると、「どうぞ、落ち着いてください」と非常に丁寧な口調で諭すように言われた。すっかり信用してしまったA氏は、言葉巧みに誘導されるまま、メインバンクや支店名、口座の残高、暗証番号まで教えてしまった。すると、「あとで関係各所から電話がかかってきますので、しばらく自宅にいてください」と“命令”を受けた。Aさんは、この時点で一秒でも早く次の電話がかかってくるのを待つ心境になっていたという。

 ほどなく、“検事”から電話があった。「残念ながら、間違いなく事件ですね。のちほど銀行協会の人間から連絡をさせますので、もう少しお待ちください」と、こちらも丁寧な対応だった。“銀行協会”から電話があったのは、約10分後。「安心してください。クレジットカードの被害は食い止めました。ただ、心配なのはクレジットカードから個人情報が引き出され、銀行のキャッシュカードにまで影響を及ぼしているかもしれないことです。銀行協会では、キャッシュカードを預かれば、それが判明する機械があります。ともかくカードを預かって調べる必要があるので、これから職員を行かせます」

鬼塚眞子/ジャーナリスト、一般社団法人介護相続コンシェルジュ協会代表

鬼塚眞子/ジャーナリスト、一般社団法人介護相続コンシェルジュ協会代表

出版社勤務後、出産を機に専業主婦に。10年間のブランク後、保険会社のカスタマーサービス職員になるも、両足のケガを機に退職。業界紙の記者に転職。その後、保険ジャーナリスト・ファイナンシャルプランナーとして独立。両親の遠距離介護をきっかけに(社)介護相続コンシェルジュを設立。企業の従業員の生活や人生にかかるセミナーや相談業務を担当。テレビ・ラジオ・新聞・雑誌などで活躍
介護相続コンシェルジュ協会HP

Twitter:@kscegao

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