30代独身女子、マイホーム購入で注意すべき3つのリスク…銀行の無理なローン設定に要注意
シングル女性がマイホーム購入前に知っておきたい3つのリスク
では、30代シングル女性がマイホームを購入する際のリスクとはなんだろうか? 筆者は、リスクが三層に重なる構造になっていると考えている。
まず1つ目は、「持ち家リスク」だ。つまり、シングルなどライフステージにかかわらず、持ち家派と賃貸派の議論になった際に頻繁に取りあげられる論点である。
持ち家のデメリットとして挙げられるのは、住宅ローンは家賃程度であっても、各種税金や手数料、修繕費用などで年間コストが大きな負担になること。昨今の不動産の資産価値の低下や住み替えに柔軟に対応できないことなどであろう。
続いて2つ目は、男女問わず「シングルがマイホームを購入するリスク」である。これは大別して2つあり、基本的に住むのが一人であることと、住宅ローンを返済するのも一人であることだ。つまり、単身で住むのが前提であるため、万が一、病気やケガ、転勤などなんらかの理由でそこに住めなくなった場合、それをどうすべきか考えておく必要がある。もし賃貸に売却したりするならば、物件は駅からできるだけ近く、広さも50平方メートル以上あるなど、売却等がしやすい物件を選ぶことも重要なポイントとなる。
そして、住宅ローンを組んで購入する場合、返済は自分一人の収入で賄わなければならない。同じく、病気やケガ等で収入が減少した場合のリスクや備えは、購入前に検討しておく必要がある。
最後の3つ目は「女性特有のリスク」である。社会で活躍する女性が増えてきたとはいえ、相対的に男性よりも女性のほうが収入は低く、会社での立場も脆弱なことが多い。仮に、マイホーム購入後に結婚した場合、居住地や勤務状況などライフプランが配偶者次第で変わってしまうことも多々あるのが現状だ。
実際には、結婚後に妻が購入したマンションに住むことになり、夫がこれまで住んでいたマンションが空き家になった、というケースも少なくないが、その場合も世帯全体としてダブルローンを抱えるリスクは残る。
高齢になると賃貸が借りられなくなるのはホント?
このように、シングル女性がマイホームを購入する場合、これらの三層構造になったリスクをクリアできるかどうかをよく考えてほしい。
別段、シングル女性はマイホームを買うべきではないなどと言うつもりはない。ただ、銀行の住宅ローン担当者から、無理な住宅ローンを組んで、個人破産やローンが債務不履行(デフォルト)に陥るシングル女性のケースが増えており、審査も厳しくなっているとも聞いている。
ちなみに、高齢になると賃貸が借りられなくなるから持ち家のほうが安心ということに関しては、状況は変わりつつある点も知っておきたい。
そもそも、その理由として挙げられるのは、賃貸マンションなどを借りる場合、年金以外の定期的な収入を持つ、近隣に居住する保証人が必要なことがほとんどで、高齢になると保証人を確保するのが難しいからだ。しかし、最近では保証人の代わりに保証会社を利用できる物件も増えている。そもそも、これからの日本社会は高齢者が今以上に増えるわけだから、「高齢だから貸せない」なんて言っていると誰も借り手がいなくなってしまう。
おそらく今後、住まいを借りる際により重視されるのは、給与であれ年金であれ、キャッシュフローがあるか否かだろう。シングル女性が将来に不安を感じ、確実な安心感を求めてマイホームを購入するのなら、本当にそれが真の心の拠りどころとなるのかをよく考えてほしい。
(文=黒田尚子/ファイナンシャルプランナー)