積立投資は相場を見誤らない
積立投資は、持っている資金を一度に投資せずに、少しずつ分けて投資していく方法です。相場の状況にかかわらず、定期的に買い付けを続けていきます。
相場が上昇する場合は一度にまとめて購入したほうが利益は大きくなります。相場が下落する場合は、下がった後に購入したほうがよいでしょう。しかし、そればかりはわかりませんので、常に一定の間隔で、毎回同じ単位または金額を、多数回に分けて購入していきます。高いときにも購入することになってしまいますが、安いときにも確実に購入がなされますので、「リスクが減る」というわけです。相場の読みを見誤るリスクをなくすことができます。
実際、どれほどの効果があるのか?
この3つの投資方法はに「リスクを減らす」効果があるというのは、資産運用の分野、特にファイナンシャル・プランナーの間では、もはや“常識”で、疑う人はほとんどいません。しかし、本当はどれほどの効果があるのでしょうか? 改めて、見直してみる必要があるのではないでしょうか。
実際、分散投資や長期投資、積立投資をすれば、常に損失を回避できるわけではありません。リーマンショックの後は、「分散投資」であることをアピールしていた投資信託が軒並みマイナスとなりました。平成バブルが崩壊してから30年が経過していますが、日経平均株価は当時の水準まで戻っていません。日本株のように上下を繰り返している相場では積立投資は有効ですが、アメリカのように一本調子で上昇している場合は明らかに“不利”となります。
3つの投資手法にはそれぞれ“一理”はありますが、そのメリットが強調され過ぎているきらいがあるようです。本に書いてあるから、専門家が言っているから、と言って「これなら安全」と決めてかかってはいけません。「リスクを減らす効果」はいわれているほどにはないのかもしれません。
(文=村井英一/家計の診断・相談室、ファイナンシャル・プランナー)