「老後2千万円不足」は、こうやって乗り越えられる…現役世代のあなたが今すぐやるべきこと
私は、30歳前後の若者から、個人年金保険などの貯蓄商品の提案依頼を受けると、冗談めかして「あるかないかわからない老後のために、今の生活を犠牲にしたいですか?」と聞くようにしています。これは決して「蟻ではなく、キリギリスになれ」と言っているのではなく、漠然とした不安で、すぐにつまらない金融商品に手を出してしまわず、もう少し物事を自分なりに考えて結論を出してほしいというメッセージです。
月1万円ずつでも単純に40年間ためていけば、元本は480万円になりますが、これが年利2%で運用できたとすれば734万円、仮に6%ならば、2,000万円になるのです。金融審議会の報告書では、こうしたことをきちんと認識することの重要性を「金融リテラシーの向上」と難しい言葉で表現していますが、要は一定の金融知識を持ち、実際に運用の経験を実感しようということです。
不足は、支出が収入よりも多いから生じる
足りないから、その分を補うように若い内から資産形成に励めというのは、それなりの理屈ですが、一方で足りないなら支出を減らせばいいじゃないかというのが、ごく当たり前の道理です。つまり、不足分2,000万円を減らすには、支出の月26万円を減らせばいいのです。つまり、収入に合った生活をするということです。
審議会の報告のなかで支出の内容を良く見ると、26万円の内、その他の消費支出が5.4万円も占めています。このなかには理容や美容の費用や、交際費などが含まれています。こうした費用であれば、ある程度減らしても生活には大きな支障がないように思います。
私の実感としては、もちろん住むところや周りの生活環境にもよりますが、たとえ東京で暮らしていたとしても、老夫婦2人で月26万円はもっと削れるような気がします。
例えば、今の生活に照らして考えてみましょう。1日500円のお小遣いで生活している会社員が、他の同僚が650円の昼の定食を食べているとしても、150円を借りてまで高価な(?)定食を食べるでしょうか。それよりも、500円でお腹を満たし栄養もとれるワンコイン弁当などを探す工夫をするのではないですか。
産む子供の数を1人減らせば老後資金は捻出できる
私が金融審議会の報告を読んで最初に危惧したのは、老後の資金が不足する状況ならば、子供は2人欲しいと思っていた夫婦が、「じゃあ、1人で我慢するか」ということにならないかという点です。