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住宅ジャーナリスト・山下和之の目

まだ買える!破格の安さのHARUMI FLAG、都心近くで買える最後のタワマン?

文=山下和之/住宅ジャーナリスト
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HARUMI FLAGの完成イメージ図

 首都圏最大・最後の大規模開発として注目され続けてきた『HARUMI FLAG(晴海フラッグ)』。2021年の販売開始以来、常に高い倍率で人気を集めてきましたが、その大規模開発も2023年にはいよいよ最終章を迎え、センターに位置するツインタワーの販売が始まります。再び、たいへんな注目を集めるのは間違いありません。

都心隣接地で最大で最後の大規模開発

『HARUMI FLAG』は2021年に開催された大規模スポーツイベントの選手村として利用されたあと、リフォームされて民間分譲マンションとして販売されています。銀座駅から2.5km、東京駅から3.3kmという都心へのアクセスに恵まれた場所に位置し、三方を海に囲まれ、都心のビル群やレインボーブリッジなど、東京湾の眺望を満喫できます。

 約18万平方メートルの広い敷地に、大規模な商業施設のほか、東京都によって整備されるマルチモビリティステーション、東京都中央区によって新設される小学校など、官民が連携した都心隣接型のコンパクトシティとなります。交通・商業・公園・学校・保育など、暮らしに必要なものがすべて街のなかで揃う、ALL IN TOWNです。開発に当たるのは三井不動産レジデンシャル、三菱地所レジデンス、野村不動産、住友不動産など、わが国の不動産業界を代表する10社で、三井不動産レジデンシャルが幹事会社となっています。

分譲・賃貸を合わせて総戸数5632戸

 供給される住宅は分譲住宅が4145戸、賃貸住宅が1487戸の合計5632戸で分譲住宅街区は、SEA VILLAGE、SUN VILLAGE、PARK VILLAGEの三街区から成ります。分譲住宅(マンション)の最多供給面積帯は85平方メートルとゆったりとしており、都心近くでは考えられないようなゆとりある間取りプランです。それも人気の理由になっているようです。

 住居表示、アドレスは東京都中央区晴海五丁目で、最寄り駅は都営地下鉄大江戸線の「勝どき」駅で、徒歩時間は18分です。徒歩時間は長いのですが、竣工までにはBRT(バス高速輸送システム)が開通し、築地、新橋、虎ノ門方面に直結、交通アクセスの改善が進みます。環状2号線本線トンネルによって湾岸と都心を結ぶ最短ルートを走ることができ、停留所と信号の少ないルートを安定した速度でロスなく運行され、都心に快適にアクセスできるようになります。また、国際展示場や東京テレポート、東京ビッグサイト、東京国際クルーズターミナル方面にも快適にアクセスできます。

 2018年にオフィシャルサイトが開設され、5万件以上のエントリーがあり、2019年4月にオープンとした「晴海フラッグパビリオン」と名付けられたモデルルームの見学者は、2021年11月の販売開始までだけで1万2000組にのぼりました。2021年11月から販売がスタートしていますが、SUN VILLAGEの第1期、第2期の631戸の販売戸数に対して5546件の申込みがあり、平均倍率は8.7倍、最高倍率111倍を記録する人気となりました。

 この第1期、第2期の販売価格は2LDKが4990万円、3LDKは5790万円からでした。不動産経済研究所の調査によると、2021年度上半期(4月~9月)の東京23区の新築マンション平均価格は8686万円でしたから、たいへん割安感が強く、それがこの競争倍率につながった最大の要因でしょう。最近でも、2022年11月のPARK VILLAGE第2期2次の119戸が、平均28.2倍、最高倍率119倍、SUN VILLAGEの第一工区第2期2次の66戸が、平均28.2倍、最高105倍で完売しました。販売開始から1年が経っても、依然として平均30倍前後、最高100倍以上の人気を保っているのです。

周辺相場より3割も4割も安い価格設定

 これほどまでの人気となっている要因としては、都心へのアクセスの良さ、コンパクトシティの利便性の高さなどのほか、価格の安さが挙げられます。スポーツイベントにおける選手村としての活用が大前提になっているので、東京都が周辺相場に比べて格安の値段で土地を販売したため、マンションも安く供給されています。

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 たとえば、2023年1月販売のPARK VILLAGE第1工区の第3期の販売予定は915戸ですが、価格をみると、専有面積78.30平方メートルから89.95平方メートルが6500万円台から7500万円台で、最多価格帯は6700万円台です。たいへんザックリとした計算になりますが、坪単価は280万円前後と、300万円を切ります。

 周辺の新築マンションをみると、「勝どき」駅徒歩10分の「ベイサイドタワー晴海」は、54.73平方メートル~66.24平方メートルが7200万円から9800万円ですから、坪単価は400万円台半ばから後半です。なかには、もっと高いマンションもありますから、『HARUMI FLAG』の坪単価は周辺相場に比べて3割も4割も安い価格設定といっていいかもしれません。平均倍率30倍の人気を誇るのも当然のことでしょう。

2023年4月には新たな販売センターを開設

 その『HARUMI FLAG』の分譲もいよいよ佳境を迎え、2022年12月、事務局から新たな街のランドマークとなるツインタワーの販売が始まることが告知されました。写真にあるような地上50階建ての超高層免震制震タワーで、総戸数は1455戸になります。2023年1月に報道向けの発表会が開催され、超高層マンションのタワー棟に関する新しい販売センターが設置され、2023年4月には報道向けに公開されるそうですから、このブログでもその詳細をお伝えできるのではないでしょうか。その後、間もなく販売が始まることになるかと思います。

 ただ、価格についてはこれまでのように周辺相場に比べて格段に安いものにはならないかもしれません。もちろん、土地の仕入れ値が安いですから、多少は安くなるでしょうが、その後、建築費が大幅に上昇していますし、超高層マンションであることを考慮すれば、周辺相場より1、2割安い水準にとどまることになるのかもしれません。

免震×制震のハイブリッド構法を採用

 ただ、そうはいってもたいへん魅力的な物件であることは変わりません。写真にもあるように、都心側からみても、新たなに形成されるコンパクトシティである『HARUMI FLAG』の中央にそびえ、回りを睥睨するような迫力がありますし、街のなかをみても大通りに面し、ゆったりとして配置になっています。恐らく最上階にはラウンジなどが設置され、入居者はそこから都心の夜景などを楽しむことができます。

 50階建ての超高層マンションであり、かつ湾岸部に属しますから、地震や津波対策などの防災面が気になりますが、このツインタワーでは免震・制震構造を採用しています。三井不動産レジデンシャルでは、すぐ近くの『パークタワー晴海』で、わが国初の免震×連結制震のハイブリッド構法を採用しています。安全面への配慮の実績も十分ですから不安は小さいでしょう。

価格により平均倍率30倍を超える可能性も

 人気の高い超高層マンションですから、価格設定にもよりますが、平均倍率30倍というこれまでの実績以上の倍率になるかもしれません。富裕層、超高額所得者なら都心で超高層マンションを入手するチャンスはいくらでもあるでしょうが、一般の会社員にとっては価格面などから、これが入手可能な都心近くの最後の超高層マンションになるかもしれません。販売動向に注目しておきたいところです。

山下和之/住宅ジャーナリスト

山下和之/住宅ジャーナリスト

1952年生まれ。住宅・不動産分野を中心に、新聞・雑誌・単行本・ポータルサイトの取材・原稿制作のほか、各種講演・メディア出演など広範に活動。主な著書に『マイホーム購入トクする資金プランと税金対策』(執筆監修・学研プラス)などがある。日刊ゲンダイ編集で、山下が執筆した講談社ムック『はじめてのマンション購入 成功させる完全ガイド』が2021年5月11日に発売された。


はじめてのマンション購入 成功させる完全ガイド2021~22


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